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「ゆーと。」

裕「え、あ……お、おばさん、すみません。俺はパン屋のアルバイトではなかったです。」




人の輪の中から、ゆーとに向かってパン屋のおばさんが見えて、ゆーとはおばさんに向かって頭を下げた。




「頭を上げてちょうだい。」




おばさんの指示でゆーとはゆっくりと頭を上げたけど、目は伏せたままでおばさんを直視できていなかった。





裕「あの……俺は、これから……」

「わかってるよ、この子たちと行くんだろ?気をつけて行ってらっしゃい。ただ、休息も必要だよ。私の店は無事だから今日は休みに来なさい。」

カ「お辛い中、ご親切にありがとうございます。」

「私たちの方が返したくても返せないほどの恩をいただきました。ご遠慮は無用でございます。」





カルナはこの世界だと神様の様な存在なのに、ごく普通の街の住民とお互い頭を下げていて本当にカルナは謙遜な性格だと思う。




いや、謙遜的であまり自分のことを棚に上げずどんな人にも見下す態度を取らない性格だからこそ、皆から慕われてるのかもな。





結局、おばさんと他住民たちの押しに負けて俺たちはパン屋さんで休息を取らせてもらうことにした。





薮を光くんが背負って俺たちはパン屋の奥の部屋に入らせてもらった。




このパン屋は奥に入るとおばさんの家になるそうで、厨房を通った先にはアンティークな雰囲気のリビングがあった。



中にはパン屋の主人さんがいて、俺たちを空室まで案内してくれた。




有「おじゃまします。」

「どうぞどうぞ。ゆっくりしていって下さい。重症な方はここで横になられて下さい。」

カ「本当にありがとうございます!」




カルナが頭を下げて、光くんは薮をベッドに横にして主人さんが冷やしたタオルを薮の額に乗せてくれた。




薮「ごめん、まだ立てそうもない。」



片腕で自分の顔を隠して、謝る薮。



避難してから随分時間が経ったのに未だにこんな疲労状態だと結構な回数で回復技を使ったんだろう。




知「宏太は今日はゆっくり休んでて!もうそこから動いちゃダメ!!」

薮「その方が結構辛い気がするのは気のせい?!」




知念と薮とのやりとりに周りが笑いに包まれる。

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作者名:まっちゃん | 作成日時:2021年5月1日 22時

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