救世主。２ (ページ29)

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その女の人にパン屋のおじさんはパンがいくつか入った袋を持って近寄った。

「やぁ、フィリンちゃん。今日もご苦労様！注文したパンを持ってきたよ！」

フィ「いつもありがとうございます。」

綺麗でおしとやかな女性はフィリンというらしい。

知「カルナ、あの女性は？」

カ「フィリンさんです。ここの大図書館の管理人さんです。」

有「か、管理人！？1人で！？」

フィ「そうでございます。初めてお目にかかります。カルナ様とご一緒ということは救世主の方々でしょうか？」

20代前半くらいの若い女の子がこんなでかい図書館を1人で管理してるなんてすごいな。

薮「はい！俺たち、ここの図書館でインベーダーとの戦いや離れ離れになってしまった仲間の居場所のヒントを探しにきたんです！」

カ「いや、フィリンさん。いらっしゃいますよね？ここに。」

カルナが意味深な問いかけをフィリンさんにかけた。

フィ「はい。どうぞ、こちらへ。」

パン屋のおじさんとはお別れし、フィリンさんの案内で俺たちを建物の奥の方へ案内してくれた。

案内されたのは建物の奥の方にある広い読書スペースだった。

そして、そこには見覚えのある男の人が1人座って本を読んでいた。

有「い、伊野ちゃん！！」

そう、読書をしていたのは紛れもなくあの伊野ちゃんだった。

そんなことあるか？ヒントを探しにきたはずの図書館にまさかの探してたメンバー本人がいるなんて。

俺たちは伊野ちゃんの姿を見て驚いて固まってると、本を読んでた伊野ちゃんは嬉しそうに俺たちのところへ近づいてきた。

伊「みんな！！よかった、無事だったんだ！」

有「へ？」

え、今……伊野ちゃんなんて……

みんなも目が点になった様な顔をして伊野ちゃんを見つめた。

伊「え？みんな、どうした？それに圭人と山田は？」

え、え…………ええええええ！？！？

光「覚えてやがるこいつぅ！！なんなんだよぉ、この野郎ーーー！！」

伊野ちゃんが俺たちの記憶を消されてない事実を理解した瞬間、光くんは嬉しさのあまり伊野ちゃんに抱きついた。

伊「おい、なんだよ！ってか、なんでみんなして泣きそうなの？え？」

裕「だ、だって…みんなバラバラになっちゃって、みんなデーブルのせいで記憶を失くしてて……」

伊「あー、なるほどな。」

ゆーとの一言で合点がいったように伊野ちゃんは小さく頷いた。