月島、彼女に惚れ込んでます【月島蛍】

#30 日向side ページ30

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『日向くん！』



昼休み、後ろからそう声が聞こえ
振り返る。






聞きなれた声だった。

誰かは見なくてもわかるぐらいに。






「どうしたの？倉橋さん」




憎き月島の、彼女。倉橋さん。






『これ、前言ってた歴史のノート！』

「え！？おぉ！！！」





はい、と手渡されたノートを俺は受け取る。




「ほ、本当にいいのか！？」

『全然いいよ』



そう、笑いながら言う倉橋さん。








実は、前々から倉橋さんに頼んでたんだ

授業中、(寝たりして)書けなかったノートを写させてって。



なんで倉橋さんかというと、



月島、山口、谷地さん、倉橋さんという選択肢があったんだけど


月島は俺に貸すわけが無い

山口は、歴史のノートを無くした

谷地さんには英語でお世話になってる




と、いうこと。









俺は、パラパラとノートをめくる。





「すげー！谷地さん並に見やすい！」

『仁花ちゃんの親友ですからね〜』


得意気に言う倉橋さん。




「ありがとう！放課後までに返す！」


字、見やすいし分かりやすいし…

さすが倉橋さん。






そう思いながら、ノートから顔を上げたとき















「……げっ」






やつは、確かにそこにいた。







「どーも」

『あ、蛍くん！』

「つ、月島！！誤解だ！！これは誤解です！！」




倉橋さんの後ろにそびえ立つ月島。


その月島の表情はピクリともしない。

ただただ、俺を睨みつけてる。





そのまま数秒、俺は固まっていた。









そして


ようやく月島は、視線を倉橋さんに移して一言。



「……なんで他の男と仲良さそうなの」









『ノートを貸しただけだよ！』

「……ふーん」





月島はそう言うと、倉橋さんの腕を掴んで



「お昼、食べるよ」



そう言って俺に背を向けた。









……倉橋さんにノートを借りるのはこれが最初で最後だ。



じゃないと、俺が殺される。月島に。




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