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ガラガラと扉の開く音が聞こえた。
店の場所や出勤時間など詳しいことが書かれたメモを懐にしまい、なるべく不自然に思われないよう平然を装う。


「おかえり、猫いた?」

「おー。依頼きた?」

「ううん、来てないよ」


大丈夫、何も不自然じゃない。
銀ちゃんだって不思議に思わないはず、目を見て話すのはいつもの事。だけどちょっぴり緊張する。


「あっそ、シケてんな。ほら土産」

「えっ!!!」


土産と言って渡されたのはおまんじゅう
嘘でしょあの銀ちゃんが私に土産!?しかもそれが甘いものって、絶対何かあったに決まってる!

「食べていいの?」

「土産なんだから食えよ。そらともいらねーの?」

「ううん、ほしい」

じゃあ食え、とそれを言ったっきり銀ちゃんはジャンプに夢中。
不思議に思い新八や神楽ちゃんに何かあったのか聞いてみるけど何も無いと答える。嘘をついているようには見えない。

自分に隠し事があるからって慎重になりすぎ?

そのあとも、ご飯を食べる時もお風呂から出てきた時も至って普通。
やっぱり私の考えすぎだと片付けた。

夜のことを考えて夕食を減らしたことについて言及されてしまったけれど、やんわりと躱した。

お風呂から出た頃には銀ちゃんは寝る準備をしていた。
いつも銀ちゃんは私の布団も敷いてくれる。

髪を乾かして、梳かして、銀ちゃんが眠るのを待つ。
銀ちゃんが眠るのが先か、時間が近づくのが先か。


「なにしてんだオメー」

「ぼーっとしてる」

「寝るんなら布団で寝ろよ」


カチコチ時計の音を聞いていた。銀ちゃんはまだ寝ないみたい。
だけど時間は刻一刻と迫っている。
やっぱり隠し通すのは無理なのかもしれない

けど、私は諦めない。
なにか聞かれても「散歩」で通そう。ていうか予め散歩って言っとこう。


「ちょっと散歩行ってくる」

「馬鹿かお前何時だと思ってんだ」

「よ、夜の散歩は良いって昼間テレビで言ってたもん」

「夜更かしは美容の大敵だろ」

「そ、だけど…でも今散歩の気分だから!!」


そう言って無理やり外に出てきたはいいものの

いや私嘘下手すぎ
絶対銀ちゃん疑ってる。
でもまあいいか、外に出て来れたし、後のことは後で考えよう。

メモの通りに店に着けば夜だから映えるお店の華やかさに少しクラクラした。



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作者名:くずもち | 作成日時:2020年3月3日 17時

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