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「なんでそんな可愛いこと言うかなぁ!?!」

「……?それはよく分からない」


善逸は、感受性豊かな人だと思う。
林檎みたいに真っ赤にした頬を隠しながらも私にそんな言葉をなげかける。だけど、生憎の事ながら私にはその言葉の意味はわかり兼ねる。

今まで散々感情を押し殺して生きてきたわけだ。
嬉しい時には笑って悲しいときには泣く。なんて言葉は知っているけれど、私は私がいつ嬉しく感じたか、どんな時に悲しく感じたかが分からない。

善逸が先程から連呼する「可愛い」というものもいまいちよくわかっていない。




一時的にとは言え川辺に拠点を置いたおかげか、朝食兼昼食は川魚を取って腹を満たした。


「善逸、私には、師範との約束がある、だから行かなければ。」

「無理だってばぁぁ!!!俺弱いからすぐ死ぬし!!だから結婚してって言ってんじゃん!!結婚してよぉぉ!!!」


腹を満たしたのならばいつまでもここに滞在するわけにもいかない。姿こそ見せないものの隙を見せればすぐに殺されてしまう。人間と鬼の力の差は理不尽な程に大きいのだ。

集団行動よりも単体で動く方が効率がいいとも思える。

そう、善逸には説明しているのだが。
言葉足らずなのかそれとも善逸の聞き分けが悪いのか一向に話はまとまらない。

どうしたものかと困っていれば先程のように察知したのか善逸は何かを考え始めた後、名案とでも言うようにひとつの提案をした。

「じゃ、じゃあさ!!7日間生き抜いたら俺と結婚してよ!!!」

「それは、困る、な」

「なんで!?!?!俺のこと嫌いなの?!?」

「きらいも、なにも、わからない」

「じゃあ知ったら結婚してくれる!?」

「師範に、聞かないと」

「こういうのはAちゃんの意思で決めていいんだよ!!」

「……私の、意思、?」


私の意思とはなんだろう。
思えば追い出された時も、師範に拾われ修行を始めたときでさえも、私の意思なんてなかった。ただ周りに流されただけのこと。

私は私のことを何も知らない。
知らないといえばもうひとつ、今更のことに感じてしまうかもしれない。

「けっこん、って、…?」



私の言葉を聞いた途端、善逸の体は硬直した




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くずもち(プロフ) - いさん» なかなか時間が作れず更新疎かになってしまってすみません、、。ありがとうございますっ! (2020年3月1日 2時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
- くずもちさんのお話がとても好きです!このお話をこのまま続けてくれると嬉しいです (2020年2月29日 21時) (レス) id: dbde7cb3be (このIDを非表示/違反報告)
くずもち(プロフ) - あさん» 了解しました、書かせて頂きますっ! (2020年2月15日 22時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
くずもち(プロフ) - マリィさん» ありがとうございますっ!承りました、書かせて頂きます! (2020年2月15日 22時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
- 柱達に甘やかされるお話が見たいです! (2020年2月15日 13時) (レス) id: dbde7cb3be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くずもち | 作成日時:2020年1月26日 19時

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