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「お前を殺すことだけを毎日考えていたよ!!」
知ってる。
あなたはいつも私を睨んでいた。
憎くて憎くて仕方がないって顔をしていた。
わかってる、私も幼いながらに自分は邪魔者なのだと気づいていた。
だけど、おじいさんの優しさに触れてしまったから
あの温もりを手放したくなかったから、あなたの気持ちを考えなかった。
ごめんなさい、ごめんなさい。貴方が私を憎むのは当然だ。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死んでしまえ!二度と、私の名を呼ぶな!二度と私に顔を見せるな、と、そう言ったはずだ!」
何がきっかけだったかなんて覚えていない。
私はあなたを母のように慕いたかった。
おじいさんにもそう言われていたし、母の温もりというものを知りたかった。
だけどあなたは私が疎ましくて仕方がなくて、冬には囲炉裏の炭を投げられたり、夏には桶の中に顔を突っ込まれたり。
それでも私、あなたと近づきたかった。
そんな私の気持ちが、あなたを余計に腹立たせた。
私は初めから余計なものだった。
何年も共にいれば分かってくるのだ。
私がいくら彼女の方へ歩み寄ろうと、彼女は私から距離を取ってしまう。
なぜここまで憎まれるのか謎だった。
私はそれほどおじいさんに愛されていただろうか。
彼女も私と同じように、いや、私以上に愛されていた。
「貴様ちょこまかと避けるな!」
「どうして、」
どうしてあなたはこれ程までに私を憎んだの?
あなたと私は似ているね。
翡翠色の瞳はあの家では私とあなただけだった。
鼻筋も、輪郭も、顔立ちは似ていたね
きっとあなたは何も喋ってくれない。
だから私もこのまま気付かないふりをする
日輪刀に手をかける。
もう手は震えない。
頚を斬る。
変わり果てた彼女の姿を見るのはすごく辛い。
きっと彼女も辛いはず
足の筋肉を意識し、今の自分の最大速度で一気に鬼の元まで行く。
遠心力を利用し、思いっきり刀を振りかざす。
「氷の呼吸 壱の型 罸」
血飛沫ひとつもなく鬼の頚は斬られた。
頚元の傷口からじわりじわりと胴体の方へ氷が広がっていく。
頚の方もおなじように氷が広がっていた
「私、は、あなたを、お母さん、て呼んでみたかった」
もう二度と叶わないけれど
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くずもち(プロフ) - いさん» なかなか時間が作れず更新疎かになってしまってすみません、、。ありがとうございますっ! (2020年3月1日 2時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
い - くずもちさんのお話がとても好きです!このお話をこのまま続けてくれると嬉しいです (2020年2月29日 21時) (レス) id: dbde7cb3be (このIDを非表示/違反報告)
くずもち(プロフ) - あさん» 了解しました、書かせて頂きますっ! (2020年2月15日 22時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
くずもち(プロフ) - マリィさん» ありがとうございますっ!承りました、書かせて頂きます! (2020年2月15日 22時) (レス) id: 36447771e0 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 柱達に甘やかされるお話が見たいです! (2020年2月15日 13時) (レス) id: dbde7cb3be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くずもち | 作成日時:2020年1月26日 19時