ドリムの長女は優等生 (ページ9)

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『この際だから、全部言っちゃうね。マークさ、私の見た目
　のこと、気になってたでしょ？』

「う、うん…。」

やっぱりわかってたのか…。

『そんな怖がらないでよ。全然怒ったりしてないからさ。』

その後、Aは淡々とした声でいろんなを教えてくれた。

韓国とイタリアのハーフだと言うこと。

生まれも国籍もイタリアで、韓国に来たのは三年前の二月だったこと。

チュン・Aっていうのは韓国名で本名はA・ローレンだということ。

見た目だけじゃない、本名さえ知らなかった。
俺はAのことを知ったつもりで全然知らなかったんだ。

『お母さんがイタリア人なんだけど、どうやら私はお母さん
　の遺伝子の方が圧倒的に強かったみたいで…笑』

髪色も目の色もそういうことだったのか…。

でもそれと、その傷になんの関係が…？
それに…あいつらが言っていたように肌だって…。

『それでね、韓国に引っ越して来たとき…やっぱりこっちだと
　こういう髪とか目とかって珍しいでしょ？だから…。』

Aの瞳がどこか哀しさを物語っている。
やっぱりいじめられてたのかな…。

『あっ、いじめられていたというか……。ずっとジロジロ見ら
　れるんだよね、手を出されたことは一回も無かったんだけ
　ど…。ただ、ひたすらに私を見てくるの。』

『それが自分でも気づかないうちにかなりのストレスになっ
　てたみたいで…。いつの間にかやっちゃってさ……。元々あ
　んまり外で遊ぶような子供じゃなかったんだけど、余計家
　から出なくなっちゃって…。』

太陽にまったく当たってなかったから、肌が焼けるとかも全然なかったんだよね、と笑い事のように言う。

「あっ……。」

あの日、Aに初めて会ったときを思い出す。

もしかしたら俺達の視線は、Aにとってその時のストレスを思い出してしまうようなものだったのかもしれない。

だから気まずそうな顔をしていたんだろう。

そう思うと、心が締め付けられた。