ドリムの長女は優等生 (ページ8)

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『知りたいの？』

俺とAしかいない練習室に、小さく、Aの声が響いた。

「えっ？……教えてくれるの？」

『まぁ、マークならいいかなって。』

まさかAから教えてくれるとは…。
それにそれだけ俺を信用してくれていたのが嬉しい。

『それに…いつかは言わないといけないって思ってたから。』

嬉しいという感情に浸っていたのもつかの間、一瞬で頭の中に嫌な予感が走った。

どうか、ただの予感であってくれ。

……だけど嫌な予感ほど的中してしまうもので…。

『ん、これ。』

「あ…。」

Aがパーカーを脱いだ瞬間、俺の視界に写ったのは…

小さな、でもいくつもある、引っ掻き傷だった。

「っ、誰にやられたの！？」

勢いに任せて、飛びつくように聞いた。

Aに傷をつけたやつが許せない。
どうしてAが痛い思いをしないといけないんだ。

この時の俺は今までないくらいに、焦っていたと思う。

だけど、Aから返ってきたのは思ってもいなかった答えだった。

『違うよ、誰にもやられてない。"自分でやったの"。』

その瞬間に汗が一気に冷えて、まるで身体中が凍ったように感じた。

「な、んでっ…。」

驚きのあまり上手く口が回らない俺に対して、平然としているA。
その表情は、どこか微笑んでいるようにも見える。

どうして…どうしてそんなに落ち着いていられるの……？
いつもの笑顔の裏には何があったの…？

頭の中が、とにかくごちゃごちゃだった。