初めての優しさ ページ8
｢なっ！｣
松田くんの言葉は止まらない。
｢あんたよりもこいつの方がまだマシだ。分かるか？知りもしねぇ奴の容姿馬鹿にするような女じゃねえからだ。帰れ。あんたみたいな奴に俺は興味ねえよ。｣
何故か私の事褒めたよ。
そのせいかな。とうかちゃんの顔を見てご覧。真っ赤なリンゴだよ。
｢あ、あんたなんかそこのブスがお似合いよ！｣
初めましてもしてないのに何故そこまで貶すんだ。
性格ブスめ！
怒った顔で去っていく背中にそんなことを思いながらふんっと鼻で笑ってたら、松田君に頭を叩かれ、
｢おいAくだらねえことしてんなよ。さっさと続きやるぞ。｣
と言われた。直ぐにペンを持ってまた教科書とにらめっこをする松田くんだけど、耳が少しだけ赤い気がする。気の所為かもしれないけど。
いや気の所為だな。まさかそんなことあるわけない。そうだとしてもなんで耳赤くしてんのって話だし。うん、ないない。
勉強集中。
｢よしまたやろうか。でももし、これで補習になったら、末代まで松田くんのこと呪ってあげるから覚悟しな。｣
｢補習如きでそこまで言うやつ初めてだわ。｣
｢当たり前でしょ！何が嬉しくて休みに学校まで行って勉強しなきゃならんのだ！絶対嫌だね！｣
さっきのお礼がしたいけどなかなかに恥ずかしくていつもみたいな言葉しか出てこない。
｢わぁーったよ。ちゃんと勉強すっから頼むわ。｣
｢大船に乗ったつもりで任せなさい！｣
言う、言うしかない。
お礼言うだけ。それ以上でも、それ以下でもない。いける。
よし、と決めて松田くんの目を見ると、松田くんも何故かこっちを見ていてバチッと目線が重なった。
思わず顔を背けて、その状態のまま小さい声でお礼を言った。
｢さっきはありがとね。｣
声が小さくて聞こえてないかもしれない、という心配は杞憂だった。
だって、｢ふっ｣て聞こえて少し顔を上げたら、頬杖をついた松田くんの顔が少しだけ、ほんの少しだけ優しくなって笑っていたから。
｢なんの事だかな。｣
いつもと変わらない声色。
｢分かってるくせに。｣
だけど、私の言葉に笑う顔はいつもより優しい。
｢Aは言うほど悪い奴じゃねえから。自信持て。｣
｢え？なんて？｣
いつもは言わないような言葉に耳を疑って、咄嗟に聞こえないふり。
今日の彼は、いつもより全部が優しくて、調子が狂う。
｢なんでもねえよ。｣
今度は不機嫌そうにそっぽを向いた松田くん。
情緒不安定か。
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志瀬(プロフ) - RIOさん» コメントありがとうございます！松田君も夢主も褒めてくださって感激ですし、私の妄想大爆発の松田君をかっこかわいいという素敵なお言葉で表して頂けて嬉しい限りです！これからも不定期更新にはなってしまいますがよろしくお願いします！ (2022年5月5日 0時) (
レス) id: 7da7865bef (このIDを非表示/違反報告)
RIO - めっっちゃ面白いです！！この話！松田さんマジかっこかわいい、、あと、夢主ちゃんの性格めっちゃ好きです（笑）更新頑張ってください！ (2022年4月30日 0時) (レス) @page16 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志瀬 | 作成日時：2022年1月12日 2時
