嫌な奴、【松田陣平】

補習？なにそれ嫌に決まってる。 ページ6

｢仕方ない。ねぇ、今日の放課後は出来そう？｣


何故か驚いた顔をしながら｢本当にやるのか｣と聞かれたから先生に頼まれたからにはやらない訳にはいかんのだよと、返してやったらあからさまに舌打ちされた。情緒不安定かな。


｢ファミレスでいんじゃね？｣


｢松田くんがそれでいいなら。｣


｢頼むわ。｣


また寝ようとしてやがるぞ。今からやる気見せろや。


｢いや松田く…｣


｢言い忘れてたけど、もしこれで松田くんの点数が低かったら舞崎さんも連帯責任で夏休みの補習受けてもらうからね。｣


それだけを言い残して先生は颯爽と去っていった。


｢……｣


で、でたー！連帯責任！この言葉に今まで何度友達に巻き込まれてきたか。本当に先生方は連帯責任って言葉好きだよね。それ言えば誰もが言うことを聞くと思うな？








｢松田くん貴様に寝る暇はない机に教科書を広げて今すぐとりかかれ。｣


まあ私は先生の策略にまんまと引っかかるけどね。いや自ら罠にかかってあげたんだむしろ優しいよね。


｢今から本気で行こう。｣


｢へーへー。｣


｢こうなったら今日も土日も勉強。その間は私が良しと言うまでペンを置くな、トイレに行くな、飲食するな、寝るな分かったか？！土日は8時間はぶっ通しでやろう。｣


｢無理に決まってんだろ。｣


たしかに。



その後もだるそうにする松田くんを無視して机をくっつけて勉強を開始した。
意外と飲み込みが早い松田くんと真面目に勉強していたらいつの間にか授業が終わっていた。



｢松田くんファミレスでも頑張ろう！｣



｢へーへー。｣





〜〜〜〜







といった具合である。夏休み補習を前にして私の方が張り切って勉強している。だが、松田くんも補習が嫌なのか、分からないところを聞いてくれたり自分なりに理解しようと試行錯誤していて感激した。頭を掻きながらあーくそと問題と向き合っている姿に母性は1ミリも芽生えないし、かっこいいとも思いません。
なので、そこの女子高生さん達キャーキャー言うのやめてもらっていいですか。


｢あの人かっこいー！勉強してる姿がかっこよすぎる！話しかけたーい！｣


｢ねー！あ、隣に彼女いる。でも狙っちゃう〜？！｣


｢えーあれが彼女？！いやぁ、あのレベルの女選ぶぐらいだもん。どっちがあのイケメン落とせるか勝負しようよ！｣


｢いいね！｣


｢…｣


勉強してるだけでこんなに貶されたのは初めてだよ。程度の低い女で悪かったな。ブスで悪かったな。

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