嫌な奴、【松田陣平】

数ヶ月後の関係性 ページ2

入学式の会話からはや数ヶ月。


｢飲み物買うついでに俺のも買ってこいよ。何欲しい？分からねぇのか馬鹿だな。｣



｢教科書見せろよ。｣



｢先生近づいてきたら起こせよ。｣



｢金ないから奢れ。因みに1番高いやつ。｣



｢授業妨害でもしてくれればな、お前が。｣



｢おいくそA。俺が怒られて嬉しいか？反抗期かよめんどくせぇな。｣



出会って数ヶ月でこの態度をとる私の隣の席の松田陣平。
人間として如何なものかと思うんだ。

でも、そんなくそみたいな彼だけど、優しいところもたまにあるんだよね。
例えば今とか。



｢おいA。とろとろ歩いてんじゃねえぞ。たく、重いなら重いっていえやめんどくせぇ。｣



｢え、ありがとう…じゃないよ！なんでさもお前が持つはずのゴミ袋もってやったぜスタンスなの？これ元々松田くんのでしょ？頭沸いてんな。あ、松田くんだからかごめんね！くそ天パ！｣


…前言撤回。本当にこの人は人間ですか？人間の形をした未確認生物だこの人。


｢あー！何が嬉しくて昼休みに松田くんと仲良く校舎内歩かないといけないわけ？｣


｢安心しろ。どう見ても俺らは周りから仲いいヤツだとは思われてねぇ。｣


それもそうだ。前後で歩く私たち。前を歩くのは悪い意味でとても有名な松田くん。後ろを歩くのは至って普通の私。
自分で至って普通って言うのもなんかおかしいけど、まあこの際それはどうでもいい。
そんな私達を見た人達はなにあれ脅されてるのかな？と言うのか？
答えは否である。誰も何も言わない。
可哀想な私。
私はさっさと教室に帰ってご飯を食べたいのに、殴り合いをしたことによって先生から命じられた松田くんのごみ捨てに(強制的に)付き合わされている。


｢はやくあーるーいてよ。足長ぇくせしてなんで歩くの遅いの？てか、歩幅が小さいの？宝の持ち腐れか？せっせか歩いて。｣



｢気使ってやってんのになんだお前。お前の足が短ぇから俺が合わせてやってんだ。感謝して欲しいくらいだな。｣


｢優しいのか優しくないのかよくわかんないけど私は早く教室に戻りたいから早歩きでもしてくれ。あーもー。てかなんで私がこんなのに付き合ってあげなくちゃならんのだ。くっそ。｣


なんてぶーぶー文句を垂れながらも、松田くんの後を着いて行く私と、悪態を着きながら前を歩く彼の姿はいつも通りの日常である。そりゃ誰も何も言わないわけだ。

萩原くん登場→←プロローグ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す