【安室透】黒い世界に舞う天使４【黒の組織】

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「……無理心中？」


私は耳を疑った。


あれから震える手で110番通報をし、警察に来てもらった。


私は女の刑事さんに別室へ移され、遺体発見時の時の状況や、父と母についてを色々尋ねられた。


ショックで何も話せなかったが、同じ女性だからか、安心していって、だんだんと口数が増え始めた。


そんな時、私は一番気になっていた事を口に出した。


「父と母は、何で死んだんですか……？」


刑事は少し躊躇ったが「まだ捜査中だから、断定は出来ないけど……」と前に置いて言ったのだ。


刑事らしくハキハキと、一音一音聞き間違えることの無い様に。


＿＿”無理心中”と。


……何で？


どうしてお父さんとお母さんが？


頭が真っ白になる。


前会った時も、いつもと変わらない、明るい二人だったのに。


混乱しながらも話を聞き続けると、
「お父さんは無職で、お母さんは水商売」
だの
「絶望に陥ったお父さんがお母さんを毒殺し、自身も同じ毒を飲んだ」
だの、意味の分からないことを述べている。


お父さんが無職？


そんなのありえない。


じゃあどうしてずっと帰って来なかったの？


仕事で忙しかったんじゃなかったの？


この一軒家や私にくれた本おもちゃは、全部お母さんのお給料から払っていたの？


確かに、お母さんは歳のわりに綺麗だったけれど、本当に水商売をしていたの？


疑問に思うことは山積みだけれど、話はどんどん進んでいく。


無理心中なんてお父さんがするわけ無い。


自分を犠牲にしてまで人に尽くしていたお父さんが、殺人なんてするわけ無い。


ましてや、お母さんを……


私にはそう言いきれる自信があった。

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