言えない本心と聞きたい君の言葉【テニプリ】完結済み (ページ10)

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手塚が水道に向かうと、男二人が言い争っていた。
顔を確認すると、手塚は大きく驚いた。
迫られている男は、今学園内で注目の的であるAだったのだ。
A「や…やめてください…」
男子生徒「おいおいおい！放送で言ってた男って、俺のことだろー！」
男子生徒は、Aを抱きしめたまま離そうとしない。
A「ちっ違います！」
Aは腕に力を入れ、必死に抵抗するが相手はびくともしない。
男子生徒「恥ずかしがらなくていいんだぜ！ほら、俺の家行こうぜ！」
A「やめて！離して！」
手塚「おい！そこで何をしている！」
手塚はAのもとへ駆けだした。
男子生徒「！？生徒会長の手塚！くそっ！」
手塚の登場に驚いたのか、男子生徒はAから離れ走って逃げた。
手塚「っ…大丈夫か？A…」
手塚は座りこんでしまったAに手を伸ばした。
A「！？……はい。お手数おかけしました。」
Aはその手をとり、ゆっくりと立ち上がった。
手塚「いったい何があった？怪我は？」
A「巻きこんでしまってごめんなさい。…君とは、もっと綺麗な出会いをしたかったな…」
手塚「？」
A「…こっちの話だよ。手塚君は僕のこと知ってたんだね…」
手塚「勿論だ。Aはこの学園の有名人だ。」
A「ふふっ…ありがとう。今日の放送聞いていてくれたかな？」
男子生徒とは関係ない話をAが始め、手塚は首をかしげた。
手塚「放送は聞いていた。だが、今のことと関係あるのか？」
A「そっか。実は勘違いしている人が多いみたいで…僕が好きな人が自分じゃないかって、思っている人が多いんだ。」
Aは、お尻についた土埃をぱっぱっと払った。
手塚「！？……じゃあ今の生徒も…」
A「そうだね。僕何回も否定しているんだけど…全然聞いてくれなくて…」
Aは悔しそうに、唇をかみしめた。