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十六着目 ページ16

止まらない血と、震える体と、冷たくなっていく体と。
嫌に現実味を帯びている全てに中也は吐き気がした。


「A……」
「も、すぐ……ひ、と…がきま、す」

誰だ、と問えばふっ、と軽く笑う。

「あなたの……てきです」
「敵………ってお前まさか……」
「じゅう…にねんかん……おせわに」

出血量の為かAの意識は朦朧とし、焦点の合っていない瞳も細くなっていく。

裏切り者(スパイ)だったのかよ……」
「最初、の……ころ、は……殺す、つも…りで、した」

ゆっくりと、余力を込めた手が自分の頬に触れる。
冷たい。氷のようだ。

「なんで殺さなかった」
「………こ、ろせる、わけ…ないでしょう」

悲しそうに笑うAは他人のように思えた。
自分に服を用意し、一緒に食事を取り、困ったように笑うAと目の前の人物は違う人間なのではないかと。

「ちゅ、うや……は、綺麗…なんだから……ころせ、な……いよ」
「馬鹿か手前は」

雪はいつの間にか雨になっていた。
自分の頬を濡らしているのは雨なのか涙なのか。
わからない。

スッ、と息を吸い込み、頬にあった手はパタリと落ちた。
その現実を遮るように足音が幾つも聞こえてくる。

中也はAに外套をかけ、その瞳を真っ直ぐ上へとやった。

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ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年1月4日 0時

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