45枚目 ページ48
Aは俺から離れるとごめん、と小さく呟いた。
母親はAを険しい顔つきで見つめている。
「さっさと家に入りなさい」
はい、と母親に敬語を使う事に驚いた。
俺におやすみ、と言って見せた背中がとても小さく見えた。
「A」
今度は俺が呼び止める。
だが、Aは止まらず家の中に入っていってしまった。
「全く…本当にお世話になりました」
わざとらしく笑って見せる母親に俺もわざとらしく笑って見せる。
「でもあまりあの子を連れ回さないでくださいな、
あんなのでも家事くらいはできるのですから」
あんなの、とは自分の子供の事だろうか。
あろまも言っていたが自分の子供に使う言葉ではない。
「あんなのって……言い過ぎでは？」
「いいんですよ、使えない子ですから」
使えるから可愛がるのか。
使えないから何を言ってもいいのか。
違うだろう。
この母親には愛情というものがない。
「ふざけんなよ」
気付いたらそう呟いていた。
相手の耳にもそれは届いていたようで驚いている。
「何が使えないだ、子供に使えるも使えないもないだろ」
「人の家の事情に首を突っ込まないで頂きたいですわ」
悔しいが何も言えない。
彼とは友達とも言えないような曖昧な関係なのだから。
他人、と言われればそれまでだ。
「ふん、全く…ろくな人と付き合わないんだから」
「お母さん、それ以上言ったら怒るよ」
扉の向こうから着替えたAが出てきた。
母親は睨み付けるようにAと俺を見て家の中に入った。
「えおさんごめん、気をつけて帰ってね」
「Aは……」
俺が次の言葉を言うより先に、おやすみと言われ扉はしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナオ(プロフ) - 無音さん» 読んでいただきありがとうございました！ (2016年3月24日 9時) (
レス) id: 6fff7782ee (このIDを非表示/違反報告)
無音 - とてもいい小説だなと思いました。男主くんの親との関係、今後どのように書かれるのか楽しみです。25話の全自動罵倒生産機に思わず笑ってしまいました。えおえおとの仲はもちろん、メンバーとの仲が深まるといいです。更新頑張ってください。 (2016年3月24日 2時) (レス) id: 543116ff27 (このIDを非表示/違反報告)
ナオ(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます！ (2016年3月20日 20時) (レス) id: 95d65e7a0a (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - いつも更新楽しみにして読ませてもらってます！応援してます！ (2016年3月20日 19時) (レス) id: 3bc612127a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青 | 作成日時：2016年3月11日 7時
