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26枚目 ページ28

昔に比べれば酒が弱くなったきっくんとは逆にあろまは少し、ほんの少しだけ強くなった気がする。

アルコールは低目といえど酒をあれだけ(きっくんにはたいしたことのない量だが)
を飲んでも酔いつぶれなくなったのは成長の一つだろう。

俺は相変わらず飲めないが。

「お、猫だー」

FBが野良猫を見つけはしゃいでいる。
それこそ餓鬼か、と言ってやりたい。

「写真とろ」

ポケットからスマホを取り出してあろまはパシャ、と撮っていく。
俺も記念に撮ろう。

そういえば前にも猫撮ったな、と思いスマホの画像を見る。

「あれ…?」

「どしたー?えおえお」

思わず二度見してしまったが、この猫は前にAくんと飯に行った帰りに会った猫だ。
珍しい種類ではないが、記念だかなんだかに撮っていた気がする。

「前にこの猫撮ってたわ」

「マジかよ!見せて」

毛並みといい、顔といい、間違いなく前にあった猫。
なんという偶然の再会。

Aくんにも教えてあげたい。

「あ、行っちゃった」

さすがに4人にジロジロと見られるのはたまらなかったのか猫は足早に逃げていってしまった。

「おいあの猫轢かれるぞ」

信号がちょうど赤から青に変わる。
ここは車通りも激しく、道に出れば惹かれるのはほぼ確定だ。

俺たちはやべえ、なんて言いながら猫を追いかけた。

あろまなんか酒入っているのに本気で。


しかし、猫の足の速さに俺たちが勝てるわけもなくばててしまう。

「やべえ!止まれクソ猫!」

「またそういうこと言う!ってやべえ!」

猫は気付いていないのか横断歩道を一直線にめがけている。

轢かれる、と思ったとき通行人が猫を持ち上げ、動きを止めた。
それは自然な動きで、無駄一つなかった。

猫も猫で何が起こったのかわからない、というような動きをしている。
誰だかわからないけどナイス。

やっと追いついたときにはみんなクタクタにへばっていた。

「30になると猫と追いかけっこするようになるの?」

この声は、と顔を上げるとAくんが猫を両手に抱えていた。
あろまのほうを見たが、罵倒する余裕もないのかしゃがんで息を整えている。

「いや…ひ、かれ…そうだった、から」

「あー…だって、お前危なっかしい奴だな」

猫の頭をなでて両手から猫を離すと猫は裏路地の方へ行ってしまった。
本当に危なっかしい猫だった。

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ナオ(プロフ) - 無音さん» 読んでいただきありがとうございました! (2016年3月24日 9時) (レス) id: 6fff7782ee (このIDを非表示/違反報告)
無音 - とてもいい小説だなと思いました。男主くんの親との関係、今後どのように書かれるのか楽しみです。25話の全自動罵倒生産機に思わず笑ってしまいました。えおえおとの仲はもちろん、メンバーとの仲が深まるといいです。更新頑張ってください。 (2016年3月24日 2時) (レス) id: 543116ff27 (このIDを非表示/違反報告)
ナオ(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます! (2016年3月20日 20時) (レス) id: 95d65e7a0a (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - いつも更新楽しみにして読ませてもらってます!応援してます! (2016年3月20日 19時) (レス) id: 3bc612127a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年3月11日 7時

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