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「ぐっ、ぐぁっ...はぁ、はぁ...」
アジトに響く男の苦しそうな呻き声。
「な、んで...君が...っ、ぐあっ」
「...全てフェージャの計画だから。」
私はそう答え、再び目の前の男−小栗虫太郎を殴る。
この行為の目的は虫太郎の異能を取り消させるためだ。
抵抗出来ない人間を暴行するのは楽だが死なせないように加減するのが難しい。
顔面は腫れ、所々出血している。
「...判った、異能を取り消す、から...」
弱々しく虫太郎はそう言い放った。
「最初からこれが目的で、私を引き入れたのか...」
「うん。」
虫太郎が異能『完全犯罪』を解いたのをゴーゴリに確認し、彼の処置を始める。
「私を、殺すのではないのか?」
虫太郎は驚いたように私を見張る。
「別に殺人狂って訳じゃないしさ。君だってそのまま放置は辛いだろう?まぁ本音はまだ利用価値があるってだけなんだけど。」
腫れた顔に脱脂綿を当て丁寧に処置する。
手加減は上手くいったらしく骨折はしていないようだ。
「...以前から思っていたが、本当に変わった女だな、君は。」
目の前の彼が徐ろにそう口にした。
「そう?どのへんが変わってるのかね。」
「そう返す所が変だ。大概の女は先ず私の言葉に怒りを示す。」
そういう物だろうか。
「そう云われてもあまり実感が湧かないな。君の女性経験の方が可笑しいんじゃないのか?」
揶揄うように返せば彼は腫れた顔を不機嫌そうに反らした。
「何をしてるんだ、処置が途中だよ。こっち向いて。」
「五月蝿い。矢張り君は変わった女だ。」
はぁ、まるで手の掛かる子供だ。
そう口にしなかったのは目の前の彼にこれ以上顔を背けて貰っては困るからだ。
ある程度の処置が終わり、彼の肩を支えて部屋へ案内する。
この時の虫太郎は心底理顔できないという困り顔をしていて思わず笑いそうになった。
「云っただろう、君にはまだ利用価値があるからね。少しくらい丁寧に扱ったってバチは当たらないだろう?」
彼を簡易ベッドの置かれた狭い部屋へ案内する。監視カメラもあるし部屋の鍵は外鍵だ。
「何が丁寧だ。まるで監獄じゃないか。」
「まぁ返す言葉も無いが此処で我慢してくれ。君は私達が目的を達するための大事な鍵なんだよ。」
はぁ...先ずは第1段階クリアでいいかな。
arrest→←the restoration of sin
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呉 モヨ子 - 失礼します。とても美しい文章ですね!ドストさん格好良い…夢主の元ネタって罪と罰のラスコーリニコフですよね?私あれ大好きなので嬉しいです!更新頑張って下さいね! (2018年1月19日 6時) (レス) id: e69ac68703 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» 投稿遅れても全然大丈夫です!投稿される日が楽しみ〜(/ω\) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 名案ですね。その発想は在りませんでした(笑)投稿は少し遅れて仕舞うかも知れませんが尽力します。リクエスト、有難う御座います。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» リクエストOKなんですかっ!!?ドスト様と太宰様に迫られるお話とか書いて貰えませんか(//∇//) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 私もドストさん推しなので作品を書かせて頂けて幸せです。更新、頑張ります。リクエストなども在りましたらコメントして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2017年8月14日 3時