An insane man ページ35
「運転手さん、探偵社まで宜しく。」
まるでタクシーの運転手を相手にしているようにその男は乗ってきた。
当然、この車はタクシーではない。
そんな常識とかけ離れた男と共に少し疲れ果てたような表情をしたもう1人の男が乗ってきた。
「はぁ...私はタクシーの運転手では御座いません。故に貴方を探偵社まで乗せる義理は御座いませんよ。」
驚きという感情を隠しながら冷静を保つように後部座席に乗った男へ話し掛ける。
「いやいや、彼が僕に親切を施してくれると言うのだ。そうだよね？」
非常識な男は隣に座る虫太郎に顔を向ける。
虫太郎はさぞ困ったというように私を見つめる。
「...左様ですか、虫太郎様の施しなら致し方有りませんね。探偵社までお送り致します。」
虫太郎に助け舟を出してやろうとも考えたがこの男を相手に勝てる気がしなかった。
ここは適当に流して1秒でも早くこの男をこの車から追い出すべきだ。
「おー、君は話がわかる人だな。では出発進行っ！」
男の楽しそうな声が後ろから聞こえる。
あぁ、面倒な事ばかりだ。
そして、車を走らせようとアクセルを踏んだ瞬間、先程までご機嫌そうに煩かった男が突然に黙った。
「...ねぇ、なんで僕が今日、あの展望台に居たか判る？」
それはなんとも不思議な雰囲気で、虫太郎だけでなく、私にも問いかけているのだと気が付いた。
「さて...？どうしてでしょう。」
私が惚ければ彼は少し笑って、細い目を少しだけ開いて見せた。
「それはね...友達を救うためさ。でも少し上手く行かなくてね...今回の事件は少し難解なんだ。」
「...へぇ、それで事件は放ってこんな所で油を売っているんです？」
「いや、もう手掛かりは掴んだ。現在、犯人は被害者と靴を交換してるから靴が小さい。」
男がそう言うと、無意識なのか虫太郎の足が少しだけ後ろに動く。
「それと、この事件が難解な理由も判ってる。犯人が『現実改変系』の異能者だからだ。」
とうとう、虫太郎は表情にまで感情が現れた。
これは『焦り』、そして『畏怖』だ。
「...それで、件の事件とやらは解決できそうなんです？」
後ろに座る彼は楽しそうに笑い、うん、と頷いた。
「ほほう...それはそれは気になりますね。」
彼の推理はきっと、これからだ。
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呉 モヨ子 - 失礼します。とても美しい文章ですね！ドストさん格好良い…夢主の元ネタって罪と罰のラスコーリニコフですよね？私あれ大好きなので嬉しいです！更新頑張って下さいね！ (2018年1月19日 6時) (
レス) id: e69ac68703 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» 投稿遅れても全然大丈夫です！投稿される日が楽しみ〜(/ω＼) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 名案ですね。その発想は在りませんでした（笑）投稿は少し遅れて仕舞うかも知れませんが尽力します。リクエスト、有難う御座います。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» リクエストOKなんですかっ！！？ドスト様と太宰様に迫られるお話とか書いて貰えませんか(//∇//) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 私もドストさん推しなので作品を書かせて頂けて幸せです。更新、頑張ります。リクエストなども在りましたらコメントして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん。 | 作成日時：2017年8月14日 3時
