value ページ13
拘束を解かれてからAは私たちにポーカーを持ち掛けた。
談笑とまでは行かないがお互い、話しながらカードとチップを動かす。
「あちゃー、貴殿の勝ちか。」
目の前のAの手元にはダイヤのストレートフラッシュが揃っていた。
「ふふ、如何かね？私と手を組まないか？」
Aは誇らしそうな顔でフェージャを見つめ、言葉を続けた。
如何やら彼はマフィアの幹部で在りながら、首領の首を狙っている様だ。
そして、彼は組合を出し抜いた《死の家の鼠》を高く買っている。
「…若し、断れば僕は蒼空を拝めない…という訳ですか。」
Aの話を聞き、フェージャが淡々と述べる。
「はぁ…私達、思いのほか忙しいのだけれどね…それにこの状況…やることは決まってるの？」
私の問いにフェージャは軽く頷き、Aを見て「僕が貴方を殺します。」と云った。
その瞬間、Aは手元の葡萄酒の瓶を手に取り、フェージャを殴ろうとした。
だが、瓶がフェージャに中る事は無かった。
「おやおや、客人に手を上げようなんて非道いじゃァないか。生憎、うちの首領様は寒がりなんだ。」
「チッ…溝鼠が！私の力を見せなければ理解が出来ない様だな。」
そう云ってAは右手を強く握った。
それと同時に部屋の隅に立っていた彼の部下が苦しそうに蹲る。
「此れが私の異能だ。部下の寿命を同価値の宝石に変える能力。」
Aの握りこぶしから零れ落ちる透き通った石。
「…部下の証の首輪は本人の同意無しには装着できない。そして、二度と外す事は出来ない。私が戻るまでに首輪を着ける決心をすれば生かしておいてやる。心配するな、君たちはきっと首輪が似合う。」
Aは頑丈な扉に鍵を通すと、部屋を出て行った。
「あんたら、諦めな。」
部屋に残された部下の一人がそう、口を開いた。
当然の如く、彼の首にも金色の輪が着けられている。
私はそれを見て、彼と向き合った。
フェージャは聞く気が無いと云った様子だ。
「…如何して？」
「Aには勝てない。生き残るには此奴を着けるしかないし、この部屋を出ることすら出来ない。…さっきの言葉…正直、痺れたよ。俺もいつかあんな強い台詞云ってみたい。」
彼の顔には絶望と憧憬が入り混じって浮かんでいた。
「へぇ…ま、私たちの異能は”意識と空間を操る能力”だからそんなの関係無いのさ。」
「えぇ、こんな部屋など自室同然です。」
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呉 モヨ子 - 失礼します。とても美しい文章ですね！ドストさん格好良い…夢主の元ネタって罪と罰のラスコーリニコフですよね？私あれ大好きなので嬉しいです！更新頑張って下さいね！ (2018年1月19日 6時) (
レス) id: e69ac68703 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» 投稿遅れても全然大丈夫です！投稿される日が楽しみ〜(/ω＼) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 名案ですね。その発想は在りませんでした（笑）投稿は少し遅れて仕舞うかも知れませんが尽力します。リクエスト、有難う御座います。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
REDRUM - きりん。さん» リクエストOKなんですかっ！！？ドスト様と太宰様に迫られるお話とか書いて貰えませんか(//∇//) (2017年8月14日 3時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - REDRUMさん» 私もドストさん推しなので作品を書かせて頂けて幸せです。更新、頑張ります。リクエストなども在りましたらコメントして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 3時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん。 | 作成日時：2017年8月14日 3時
