【文スト】新人って辛いよね。【男主】 (ページ4)

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almost die laughing at... ページ4

眩しい朝日で目が醒めると寝そべっていた土と包帯が見えた。

時計なんてものは持ってないから時間はわからない。

今の冷え切った季節からして日の出はそう早くはないだろう。

しばらくして、包帯も目を覚ました。

「…おはよぉ。やっぱ朝は寒いね。」

ｸｽｸｽと笑いながら身を縮めるカオル。

「そうだな。今年こそ死ぬかもな。」

「まーた暗いこと言っちゃってさ。でもま、何だかんだ生きれてるしさ。」

俺は此奴のこういうところはよく理解できない。

カオルは何故か俺の分の食糧までいつも持って来る。

俺は別に動けないわけじゃない。死んでも仕方がないと思っているから何もしないんだ。

なのに此奴は俺を絶対に死なせようとしない。

全て自分の為に食ってしまえば良いのに…

「…俺はお前のそういうとこ…わかんないな。」

「A、分かろうとしなくても大丈夫だよ。生きていれさえすればね。」

そう言うとカオルは立ち上がり、港の方向へ歩んで行った。

きっといつもの食糧調達だろう。

金のない俺らは野生の動物を殺して食べるか、商品を盗んで食べるかだ。

先日、盗みをはたらいた子供が店主に蹴り殺されるのを見た。

特に何とも思わなかった。これがこの町の日常だから。

それからいつもと変わらずに時は過ぎて行った。

狭い路地の土に腰かけたまま半日ぐらい過ぎただろうか。

空が紫がかって表が明るくなる。

この日はとても静かだった。

理由はすぐにわかった。

包帯《カオル》がいないからだ。

いつも鬱陶しいと思って居た奴でもいないと少し心配になる。

何日かぶりに立ちあがって港の方へ歩いてみた。

海のそばまで寄ると金色の空薬莢が転がていた。

「え…」

そして気が付いた。

暗い混凝土の赤黒く汚れた場所に。

「あ、れ…？お前…どうして…」

海に浮く白い身体。

赤黒く汚れた白い紐…

俺は必死になって海に浮かぶ体を陸に上げた。

この日はじめて俺は此奴の顔を知った。

醜い火傷の痕と赤い小さな傷。

「…お前が死んだら、理解することも出来ないな。」

凍ったように冷たい身体にそう囁いて…

俺はただ、《嗤って》みせた。

『人ってすぐ、消えちゃうんだね。』

誰かがそう言ったように聞こえた。