8話 ページ10
｢じゃあ、俺が暖めてあげようか｣
『え…？』
そう言った瞬間、影が覆いかぶさってきた。
『えっ、え…？！ちょっ…と、や、やめてくださ…』
割とガタイのいいほうらしい。Aが懸命に胸を押しのけてもビクともしない。
どうなるんだろう。
まだ親孝行もしてない。
友達もできていない。
無い思い出を巡らすごとに涙がポロポロと零れた。
『う…うぅ……まだ友達も作れてないのに…なんで、こんな…ひっく…』
その途端、相手の動きがピタリと止まった。
｢ダメじゃん…知ってる？この辺り最近痴漢にあった人いるんだよ。きっと俺なんかよりずっと力あるよ。お願いだから……一人で行かないで｣
『…！！』
一瞬街頭に照らされて見えた。
彼は、
フジは困ったような、泣きそうな顔でそう言った。
『…何してるんですか』
少し泣いてしまったことを後悔しながら上半身を起こした。
｢ごめん、本当にごめんね。でもね、俺マジで心配なんだよ、Aちゃんがこの前一人で帰って行った時もすごい心配だった｣
『…一人でいることには馴れていました。友達と帰ったことなんてないし遊んだこともありません。そもそもいないので。だから…心配はしなくても大丈夫ですよ』
そう言って立ち上がろうとしたが、するりと手首を掴まれ座らされた。
｢まだ分かってもらえないかな…それとも俺のこと嫌い？こんなことして言うのもあれだけど。｣
フジは少し眉を曇らせた。
『いえ、嫌いなわけないです。私なんかによく話しかけてくださるし優しいし…』
そう言うと、フジはさらに困った顔で
｢なら、心配しないでなんて、一人で大丈夫なんて言わないで欲しいな｣
と言った。
『でも…私なんかと帰ったりしたら誤解されちゃいます、フジさんは人気者なんですから』
｢……人気者は誰と帰るかも勝手に決めちゃうよ？｣
Aは、自分でも嫌な言い方をしたと思った。それでもおどけて言ってくれるフジは本当に優しいと思った。
『私、フジさんに謝罪も感謝も全っ然言い足りないです』
フジはぱっと顔を明るくして
｢じゃあさ、帰りながら聞かせてよ！｣
と言った。
Aも少し照れながら
『お願いします』
と言った。
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作者の言い訳スペーす
頭の中がごっちゃになって言いたいことが混ざる時があります。伏線のはり直しなどで前のお話を少しいじったりします。
｢と言った。｣を乱用してます。笑
閲覧ありがとうございます！
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いんぽ(プロフ) - ナギさん ありがとうございます！とても励みになります!! (2018年12月26日 13時) (
レス) id: 0b17a3d543 (このIDを非表示/違反報告)
ナギさん - 話が面白く、すごく続きが楽しみです！ 投稿頑張ってください^^ (2018年12月25日 23時) (レス) id: da2fa269a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いんぽ | 作成日時：2018年12月11日 20時
