いつも通りの日常だと思ったのに 2【名探偵コナン】

非日常67 ページ31

元の世界に戻れるかもしれない騒動から2週間、萩原さんと松田さんはすっかりこちらの世界に慣れて今は私が大学へ行っている間は家の事をやってくれるようになった。


「ただいまー」


萩「おかえり、ご飯先食べる？ お風呂入っちゃう？ それとも……お・れ？」


「うん、ありがとう。 先お風呂入らせてもらうね」


このやり取りも最初は照れていたけど3度目あたりから慣れた。 この後に続く松田さんの「よく飽きねェな」のセリフで1セット。


鞄を部屋に置き着替えを用意している間にふと片付けていない本を見る。 2週間前、ページがくしゃくしゃになった漫画本。 もうそろそろ大丈夫だろうと思い本を開いてみると、まだ少し折り目がついているものの随分と綺麗になっていた。


何気無しに重石にしていた他の漫画本のページをパラパラと読んでいると……


松「おいAー！ 風呂入ったら飯にするんだからちゃっちゃと入れー！」


「わわっ！ 直ぐ入るー！」


松田さんの大声で慌てて全部の本を本棚に戻す。 が、手元が狂って本を2冊落としてしまった。 何も無かったかのように本を拾って本棚に戻し、着替えを持って脱衣場へ向かう。


本を落とした本人Aは気付かなかったが、何の偶然か落とした本は名探偵コナンの77巻と89巻。


裏表紙77巻"伊達航"89巻"諸伏景光"だった──


お風呂から出て作ってもらった夕飯を食べ、皿洗いをした後はまったりタイムでテレビを見るのが家のルーティンとなっていた。 因みに30分程テレビを見てから今日の課題をレポートにまとめるのが個人のルーティン。


部屋で集中しながらレポート作成をすると案外時間が経っている事がしょっちゅうで、萩原さんと松田さんがおやすみを言いに来る事はお馴染みとなった。


レポート、明日の用意を全て終わらせて寝る……その繰り返しが萩原さんと松田さんが来てからの日常となっていた。


目を閉じ眠りにつくと、なんだかいつもと違う夢を見た。


夜、メモ帳を買いにコンビニへ行き、ついでに何本か度数の弱いお酒を買っている。 帰り道何気なく道路を走っている車やトラックを廃ビルの前を通り過ぎながら見ている。 スマホで何時か確認し、コンビニでは珍しく売っていたオモチャの鉄砲を思い出しながら、からっぽの大きなあの箱の横を通り過ぎて尾石荘に帰る夢。


朝、アラーム音が鳴り響きゆっくり目を開け音を止める。


「……不思議な夢見たなぁ、あの箱どうなったんだろ、今日ちょっと見て帰ろっかな」

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