たばこ、その後恋人失格【黄色】 (ページ9)

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7月の夜、浮かない顔をした照が帰ってきた。

「おかえり」と洗濯物を畳みながらいうと、今にも消えてしまうかのように「ただいま」と照は呟く。

同棲を始めた当時は、帰ってくる度私の大好きな笑顔を柔らかく溢してくれた。

洗濯物を畳んでいたらすぐに荷物を置いて手伝ってくれて、ご飯を作っていたら後ろからぎゅっと抱きしめてくれた。

あの日々がなくなっちゃうなら、

最初からそんなことしないでよ。

そんなふうに沸々と苛立ちが込み上げてくる。

「ねぇ、どうしたの？」

思い切って、聞いてみる。
優しく聞けたかというとそうじゃなかったかもしれない。

私に悩みを打ち明けてくれない照が

嫌いだった。

「べつに.....なんでもねぇよ」

「......

なんでもなくないじゃん、」

教えてよ、私に。

そんなに嫌そうな顔しないでよ。

そういえば最近、2人の時間がだんだんと減っていった。言葉も行動も全て。

その全てが、照が私から離れて遠くへ行ってしまうような、そんな気にさせた。

勝手に不安になって、素直になれずにまた可愛くないことを口走ってしまう。

その度照は黙り込んでまたコンビニへと足を運んで、私はぐちゃぐちゃになった心のまま泣く。

そんなことの繰り返しが続いていた。