11.教祖様 ページ12
美味しいご飯という餌にまんまと釣られたあたしは、大きな木造の建物に案内された。それがあまりにもきちんとした建物なので思わずギョッとする。
「勝手に入ってもいいの?」
「構わないよ」
「それってあなたが決めて大丈夫なやつなの…?」
スタスタと前を行く童磨。建物に入った途端ツンと鼻をつくにおい。さっき嗅いだ匂い、
中には複数の人間達が居て、何故か
「教祖様、こちらの方は」
「俺の客人だ。彼女に何か食事を出してあげて欲しいんだ」
「……教祖様?」
驚いたあたしは彼を見上げた。怪しげに扇子をちらりと揺らした童磨を指差す。
「教祖って…だってあなた……」
鬼なのに、と発しかけた。だがこちらを見やった彼の眼が鋭く光り、怪しく笑ったから咄嗟に口を
「案内してやってくれ。俺は屋敷の皆に少し顔を見せてくる」
怪しい微笑みと共に目を細めた童磨とはここで別れるらしい。あたしは広い和室に通された。
「すぐに料理を持ってきますね」
そう言って白い着物の男は部屋を出て行ってしまった。童磨は奥の部屋へ消え、ポツンと一人取り残されたあたし。
「なんかこわくなってきた…」
あたしも童磨に食べられるのかも。
独り言を呟くと、
それにしても凄まじい血肉の臭い。ここに住む人間達は分からないらしい。あたしも鬼じゃなかったら、この鼻の曲がりそうな異臭にも気付かないのか。それか、まだどこかに死体が転がっているのかもしれない。
「お待たせしました」
声と共にスッと
「………………」
お膳に並ぶ見事な
67人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りん | 作成日時:2020年1月25日 0時