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あ……なに、電気消した?暗い。もう屋敷を出るのか、起きた方がいいのか、でも眠い。
そう思った瞬間、柔らかい体温を持った何かが唇に触れる。
「!」
めちゃくちゃ驚いて思わず飛び起きそうになったけど、その後の気まずさを想像すると恐ろしい。冷静を装い、視界が明るくなってからも瞼を閉じてた。何が唇に触ったかなんて、考えなくても分かった。この際寝たふりで無かったことにしようか…だけど白紙にするには随分と大胆だった気もする。頑なに目を瞑ったままのあたし。部屋は本当に静かで、外から鈴虫のような何か虫の声が聞こえてくる。
「もうそろそろ終わろうか」
誰かが部屋に入って来た時、あたしはその声を合図にワッと飛び起きた。そして直ぐに部屋を見渡す。右隣に刀を持った伊之助。左隣にビックリした顔をしてる善逸。真正面には炭治郎。
「驚いた。凄い勢いで起きたね」
目をパチクリとさせた炭治郎にあたしは「いや、うん」と曖昧に呟く。もう帰る事になったのか、炭治郎が部屋を片し始めた。
「虫の声が聞こえる。もう秋だな」
あくび混じりに言った伊之助。あたしは彼の何でもないその言葉に、先程の柔らかい熱を持った何かを思い出していた。
愛で食べられたい #童磨→←夜に紛れる #伊之助 善逸 炭治郎
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作者名:りん | 作成日時:2019年8月19日 13時