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はぁと溜息を吐けば、何処からともなく疑問に出てくるのはあれが誰のシャツなのかという事。
「Aことだ。間違えて大きいサイズ買ったんじゃねぇの」
「あのサイズ感で間違うのは本物のバカだ」
伊之助の言葉に愈史郎がそんなわけないと頭を左右に振ると、思い付いたように手を叩いたのは炭治郎。
「お兄さんのシャツじゃないか?」
「あり得るけど。Aに兄貴が居たとして、なんでそれをAが着てくるんだよ」
間髪入れず反論を返した玄弥。各自なんだろうと唸る中で、ふと声を上げたのは無一郎だった。
「多分あれ、宇髄先生のだよ」
「……えっ」
しーんと静まり返るこの場に、聞こえたのは伊之助がパンを食ベる音だけ。みんなが顔を合わせ、納得したような表情をした。
「って事は、まさか」
思い付いたように青い顔をしたのは善逸。それに同意するように玄弥も頷く。未だに意味が分からないのか、炭治郎はキョロキョロと俺達を見渡している。
「話の筋が分からないのは俺だけらしい。Aが大きいシャツを着てくることが何かよくない事なのか?」
「良くないこともねぇけど、健全ではねぇよな」
「うん。朝からしたかもしれないし」
ニッコリと笑って言った無一郎の言葉に、飲んでいたコーヒーを吐き出したのは玄弥。噎せ返る玄弥に、さっとそれを避ける伊之助。
「おい、きたねぇな!」
「蟻が集まってきそう」
落ちた水滴を眺めながら無一郎が言う。玄弥の左右にいた伊之助と愈史郎が不快そうな顔をしているが、ゲホゲホと咳き込む玄弥はそれどころではない。
そしてまたもや黙り込む彼等。考えていることはきっとみんな同じだ。
「…あー、やっぱやることやってんなぁ……Aも」
「善逸、言い方が悪いぞ」
「AもAだよ。先生んちに泊まって、朝学校に先生のシャツを着てきたんだ」
「アピールじゃねぇの。昨日やりましたよって言う」
淡々と言ってのける伊之助に、口元に付いたコーヒーを拭いながら玄弥はなんとも言えない表情をしてる。
「あぁ、なんか、宇髄先生って行為の時とか乱暴そうだね」
無一郎の一言に言葉が無くなる彼等。そしてみんながみんな気まずそうな顔をする。
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作者名:りん | 作成日時:2019年8月19日 13時