手に負えない #不死川玄弥 ページ31
#学パロ ギャグです
昼休みに話があるからと呼ばれた校庭裏。俯きがちな彼に告白されて、あたしは叫ぶような声で言う。
「ごめんなさい!付き合えません!」
深く頭を下げたあたしは、その反動を取り返すようなスピードで頭を上げた。そこには、気に食わないとでも言いたげな表情をする”不死川で言う所の弟の方”の姿がある。玄弥は不満そうにあたしをみてる。
「何がごめんなさいなんだよ」
「お兄ちゃんの方が好き。タイプなの」
「……兄貴?」
そんな事よりも早く教室に戻りたいあたしは「それじゃあ」と彼の隣を通り過ぎようとしたが、玄弥はパッとあたしの腕を取る。悔しそうに下唇を軽く噛み締めた彼は言った
「どこが、…兄貴の、何がいいんだよ」
面倒だなと渋りながらも、思いついたままを彼に伝える。
「えー、玄弥と違うから」
「…なんだ、それ」
「玄弥が持ってないもの持ってるし」
「俺は、兄貴が持ってねぇものを持ってる…」
「え?無いよ」
「あるだろ!」
即答したあたしに声を荒げた玄弥。考えてみろと言う彼に仕方なく足を止めた。裏校舎の地面は日陰になっており湿っている。綺麗なローファーに土が付くのが何よりも嫌だ。早くここから退散したい。
「お兄ちゃんはかっこいいし、大人の余裕がある」
「なんだ、余裕ぐらい俺にだって」
「お兄ちゃんは自分を持ってる」
「それなら俺にも」
「お兄ちゃんはとにかく強いし、みんなに優しいし、やっぱかっこいいし」
「……………」
「あとお兄ちゃんは…」
いくらでも言えると指を折り「お兄ちゃんはね」と呟いた時、彼が言葉に割って入ってくる。
「おい!さっきからその呼び方やめろよ!」
「もー、うるさいなぁ」
「あんたの兄貴じゃないだろ」
「当たり前じゃん」
「なら普通に名前を、」
「あ、分かった。嫉妬してるの?」
途端に険しい顔で眉間にシワを寄せた彼。今の言葉が相当気に食わなかったようで「悪いかよ」と悪態をついた。それを見たあたしは思い付いたように言う。
「あはは、玄弥って可愛いよね」
「な、」
「可愛いよ。やっぱり弟って感じ」
「男に可愛いとか言うな!」
ぷりぷりと怒って頬を微かに赤く染めた玄弥。眉をひそめながら俯いた彼のまつ毛は長くて、鼻筋は綺麗に整ってる。実弥先生と居る時とか大人しいし、よく飼い慣らされた犬みたいでやっぱり可愛げがある。そういえば善逸達が、玄弥は女になった方がモテるんじゃないかとかそんな話をしてたことを思い出す。確かにあり得なくもない。
73人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りん | 作成日時:2019年8月19日 13時