ここでしたい #不死川玄弥 ページ26
「玄弥飲み過ぎだよ」
お酒に呑まれ、おぼつかない足取りで歩く彼を肩で支える。今夜は鬼殺隊の集まりで、珍しくみんなでお酒を飲んだ。未成年にも関わらず、お兄さんに飲まされ自分のキャパシティを超えた玄弥は途中でぶっ倒れた。見兼ねたあたしが強引に彼を会場から連れ出したわけだが、耳の先を赤くした彼はフラフラとゾンビみたいに歩くのだ。それを支えるあたしはさっきから重みで肩が抜けそう。
「ねぇ、重いって」
全体重をあたしに掛けてくる彼を身体ごと引っ張った。玄弥の身体はとても熱くて、彼を担ぐあたしの耳の端に玄弥の息が掛かる。熱を持ったそれはくすぐったくて、こっちまで蒸したように暑くなってきた。
「玄弥。重いからちゃんと歩いて」
「○*▽□☆*△…」
「何言ってんのかわかんない」
男の子がこんなに重いなんて知らなかった。それも酔っ払ってて千鳥足で、体重の全部をあたしにかけてくる。何度も何度も体勢を立て直し、歩き出そうとするがやっぱり無理がある。重さに耐えきれず倒れそうになり、あたしは彼を道の端へ誘導した。
「一回座ろう、落ち着こう」
「ん………」
「覚めてきたらまた歩こ」
「……………うん」
いつもの玄弥と全く違う、普段の彼ならこんなの無視しそうな場面なのに。なんだか素直で可愛らしい彼にあたしは見事に母性をくすぐられる。
「あ、そういえば水もらってきたの」
会場でどこかの席から勝手に持ってきた水を彼に渡す。瓶に入ったそれを受け取った彼。水だと分かっているのか否か、煽るように飲んで、ぐらりと揺れた拍子に口からボタボタと溢した。
「あーあ、こぼれてるよ」
慌ててハンカチで彼の口元を拭ったが、顎を伝って水の滴が着物に落ちる。それでも彼はうんともすんとも言わない。言わないどころかピクリともしないのだ。
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作者名:りん | 作成日時:2019年8月19日 13時