お菓子をくれなきゃ #猗窩座 【HALLOWEEN】 ページ18
# 主人公鬼
「じゃーん!見て見て!」
そう言って、広げたスカートの端を指で持ったあたしはその場でくるりと回った。
遠い欧米の国では毎年、神無月から霜月に変わる手前のこの時期になると"HALLOWEEN"という儀式が行われる。というのを情報の早い鬼から聞いたあたしは早速悪魔のコスチュームなるものを作って、十二鬼月の鬼達へお披露目しにきた。
「なんて格好してるんだ…」
現場は盛り上がると思いきやその逆。奇々怪界なものを見るような目でそう言ったのは、上弦睦の妓夫太郎だ。
普段は着物を着ているので、太腿まで生足を出す機会などそう無い。それに西洋の服は可愛い。ヒラヒラとした黒い生地のスカートや、柔い布に透けたレース。故にこんな格好は物珍しいのだ。
「素敵な着物!」
妓夫太郎とは打って変わって、堕姫はキラキラとした瞳でこちらへ駆け寄ってくる。
「花街でも見たことないわ、そんな奇抜なもの」
何処にあるの?と尋ねてきた彼女へ、貿易船が立ち寄る港の近くに住む鬼からHALLOWEENの話を聞いたのだと伝える。
「ふぅん。外国ではそんな催しがあるのね」
「みんなにお菓子を貰って回るらしいよ」
「お菓子って、金平糖?お饅頭?」
「じゃなくて、ちょこれーととかきゃらめるとか…あんまり知らないけど外国の甘いおやつ」
それを聞いていた妓夫太郎は「人間を脅して高いものを奪いに行くのか」と妙にウキウキした様子であたしに聞いてきたが、恐らくそうではない。
「多分そんなじゃない」
「きっともっと楽しいものよね。お兄ちゃんは知らなくても大丈夫」
「変だぞ。外国の人間はそんな卑猥な格好で街をうろつくのか」
「妓夫太郎いつも半裸じゃん」
「……………」
服装に関して、ここの鬼達には何も言われたく無い。妓夫太郎は常に半分裸だし、堕姫に関しては戦闘時ほぼ裸見たいな格好だ。
あたしの言葉に不満気な顔をする妓夫太郎だったが、それ以上言うこともないのか、もはや興味もさほど無いのか、もう話には加わって来なくなった。
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作者名:りん | 作成日時:2019年8月19日 13時