日常？短編集[balde's basics] (ページ5)

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2(バル氏視点) ページ5

[うぐっ…！？]

目の前は真っ暗でノイズがかったように見えない
けどあの中性的な声が耳を通った
私はまたやってしまったのか
けど私はプログラム
一度行動したらもう止められないし止まらない
また私は生徒を殺めてしまう
この生徒…マクシーは死ねないし、死なない
だからと言って何回も殺していいとは限らない
彼女(※女寄りなので彼女と呼ばれる)は慣れたと言っているがこんな事に慣れられてもこっちが悪い気しかしない

そうこう悩んでる内に彼女はまた死んでしまった
私の手で”また”死んでしまったんだ
酷い罪悪感と空虚感
それと同時に何故か満足感と幸福感が湧き上がる
不謹慎極まりないだろう
けど私は…もしかしたら彼女が私の手で亡くなってしまうのが嬉しかったんだろう
そう考えると私自身に寒気がする
私は狂ってしまったんだろう…いや、元から狂っていたのかもしれない

誰も居ない教室で後悔していると
元通りになった彼女が教室へ戻ってきた
まるで何でもないかの様に平気で私に近寄ってくる
何故？君を殺した本人なのに？私が怖くないのか？
彼女はいつも通り平気だと言って私を慰めるかのように背中を撫でてくれた
彼女の目には恐怖心等は無く、平気そうに私に笑みを向けてくれる

何故彼女は私を怖がらないのかは分からない
けどこれだけは分かる
彼女は優しすぎるのだ
私の様な殺人教師を怖がるどころか普通に接してあんな事をしても[慣れた][平気]と言って挙句は私が慰められるのだ
どんなに罵声を浴びせても
どんなに暴力を降っても
彼女はただ笑って私を受け入れてくれた

これだけ彼女を追い詰めても
何故平気そうに笑ってくれるのかは私には分からない
忍耐強いとは聞いたがここまでとは思ってなかった

とはいえたまにちらりと見える腕に着いている古傷は私が付けたもので
やはり完全には消えて無くなる事は難しいのだろう
それを見る度私は罪悪感と幸福感に悩まされる

他の生徒は皆私に精神を破壊され
私を見る度怖がる
もう慣れたものだがやはり少し寂しい
それでも彼女は私に寄り添ってくれるのだ

「マクシーさん、傷はもう大丈夫ですか？」
[すっかり治りましたよ]
「それは良かった
もうお昼ですから、食堂に行きましょう」
[そうですね、ご一緒します]

本当に分からない
彼女は何を考えてるのか

それでも私は彼女が自身の手で死んでいく姿が綺麗だとも思ってしまう

＿＿＿＿[(嗚呼…先生は本当に可哀想な人だ)]