ただ好きでいたいだけ【再会編】 (ページ29)

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「友達と会って、ちょっと飲んで帰るから…うん、ありがとう」

予想通り、あれから
飲みの付き合いに誘われたらしく

帰りが遅いと電話があった

赤ワインを飲み慣れてない私にとって
いくら大好きなお酒でもいつもより回るのが早い。

ケロっとしたママは
私が席を外してる間に、グラスは空になっちゃってるし

「きつぅ…」

ママ「まだまだねぇ」

もう店には私しかいない中、

ここでなにやってんだろう

果たして私はなんでママと張り合ってんだろう。

テーブルに伏せたみっともない姿をママの前で晒すと
ママは静かに隣に座る。

そして、ゆっくり口を開いた。

ママ「私の知り合いの話をするわ、とっても可愛がってる子なんだけど」

真剣な表情に、伏せた顔を起こして
体ごとママのほうに動かして

相槌を打つ。

ママ「その子は昔、
自分が憎くて許せなかった時期があってね。
何に対しても壁を作っていたのよ。

人を好きになることすら
感情を失って、償いとして
1人の女性を守っていたつもりだったって」

「…」

ママ「ある日、そんな自分を変えてくれた人に出会ったの」

ママはまた煙草に火をつける。
嗅ぎ慣れない煙ったい空気が
みるみる私に染みついてくる

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