#07【3年間】 ページ27
.
ガタンゴトンと電車に揺られる帰り道。
結構歩いて足はパンパン、ふかふかのベッドに飛び込みたい気分。
紫耀「…」
全身の半分は紫耀の温もりが伝わって、小さな寝息が聞こえる。
出張の毎日でお疲れだったもんね
そっと頭を撫でると、擽ったいのか口元が少し上がった。
心地よい時間に気付けば次降りる駅。
寝起きの紫耀は少しぽわぽわしてて、
私の後ろをついて歩く。
このあとご飯どうしよっか、って話していたら
紫耀の会社用の携帯から着信が鳴り、
「はぁ」とため息ついて応答する
.
話し方、内容で電話の相手はお得意様であろう
邪魔にならないように待っていると
紫耀「…」
電話を終えると申し訳なさそうに
「ちょっとだけ仕事してくる…」と、先に私をタクシーに乗せる。
「あんまり無理しないでね」
紫耀「ありがと」
急な仕事が入るのは日常茶番。
それほど、紫耀は信頼されてるってことだから
今日は、そのままお得意様と飲み確定だな。
とりあえず、行き先を伝えると
早速、ドライバーさんと会話が弾む
ふと窓からの景色を眺めると、見覚えある道に「あっ」と声を出す
『どうかされました』
「…ここまでで結構です」
急な対応にも嫌な顔せず
道路の端に停車して料金を済まし
『最近ここら辺、物騒なので気を付けてください』
「ありがとうございました」
閉まる扉に向けて頭を下げ、飲み屋街へゆっくり足を進めた。
.
295人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おもち | 作成日時:2021年2月22日 19時