ただ好きでいたいだけ【再会編】 (ページ34)

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#08-3 ページ34

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廉はキッチンカーのほうに顔を向けたまま

廉「これ､当時岸さんがバイト先で使ってたキッチンカーやってん」

「そうなんだ」

とても綺麗だったから､新車かと思ってた。

廉「お願いして引き取らせてもらったんよ､
長年､岸さんと共にしてたんやからさ

ここにもきっと岸さんの思い出があると思って」

また車内に乗り込むと､

かなりなりきって「お姉さんもう一ついかが？」とやけに商売人臭い喋り方で絡んできて

私もキッチンカーに近づいて

まじまじと見渡すと、

なんとも言葉に表せない感動が押し寄せた。

そのままライトを消され
一瞬で暗くなった周りに

ちょっとだけドキドキする。

「中に戻る？」

廉「いーや、まだここにおってええよ」

カーに寄り掛かって
携帯を覗くと「時間大丈夫なん」と

廉の言葉にハッとした。

急いで携帯を確認。

流石に紫耀から連絡きてるよね？と思ったら

なんの、一通きていなかった。

人のこと言えたもんじゃないし､
心配ちゃ、心配だけど

廉「…､A」

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廉「ふっ､いつまで食うてんの｡お口に合わんかった？」

「違う､美味しいの｡味わってるの」

廉「いつもAは美味しそうに食べるよね」

「だって美味しいもん」

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廉「ほんま好きよ､そういうとこ」

「なっ…らしくないこと言っちゃ…んっ」

廉の口から出た
「好き」というワード

思わず動揺した。

平然を保って一言言い返してやろうと思ったけど

気づけば廉の顔がすぐそこにあって

固定された後頭部に段々熱くなる唇。

離れた後、最後に小さく

廉「…結婚おめでとう」

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