付き合っている気でいる彼氏と片想いだと思い込んでいる彼女。【エース・トラッポラ】

file.9 エース ページ10

in ハーツラビュル寮 エースの部屋(4人部屋)




　
デュ「じゃあ、もう遅いし、そろそろ寝るか」





「そーだな…俺もねみぃー…」





デュ「エース……お前…監督生に何もすんなよ」





デュースはそう言ってじーーーっと睨むような
目付きで俺を見た。





「何もしねーよ」




デュ「…監督生、何かあったら
コイツぶん殴ってもいいからな」




『うん、ありがとう』





「殴んなよ！じゃあおやすみ！」




　
パッと電気が消え、全員ベッドに入った。
監督生はまだ緊張してるみたいで俺が催促した。





「ん、ほら。監督生こっち来いよ」




『……はい』




なんで敬語？




「んじゃ、おやすみ」




『うん…おやすみ』
　





15分後…
　





やっべぇ…全然寝れねぇ……
さっきまでめっちゃ眠かったのに



何度か寝返りを打つたび監督生のほうをチラッと見るけど、監督生はずっと俺に背中を向けてて顔が見えない。




コイツやっぱ緊張してんな。
しかも絶対起きてる。





……つか、デュースはあんなこと言うけどさ、
目の前で彼女寝てて手ぇ出さない男とかいんの？
普通いねーだろ。
そんなヤツいたら１回お目にかかってみたいね。






俺は悪戯心もあってか、監督生の首筋にキスをした。






『っ！！？？』





監督生はいきなりのことに吃驚したのか、
びく、と体が動いた。



…なんだ、やっぱ起きてんじゃん。
と思ったのと同時に、監督生がやっと振り向いた。





「え、エース…？」(小声)






監督生が困惑したような声で俺のほうを見る。
俺は「しーっ、」と人差し指を立てて、
監督生の手を握った。





　
心做しか、俺も監督生も、
震えていたような気がしたけど、
気づいてないふりをした。

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