付き合っている気でいる彼氏と片想いだと思い込んでいる彼女。【エース・トラッポラ】

file.31 主人公 ページ34

in 映画館






[人はいざという時ほど思考が停止するもんだ。
まず腹から声を出せ！！]






[はい！]






エースと観に来た映画は、
誰もがよくみるであろうアクション系のやつ。



初めは弱かった主人公が修行の末に
強くなっていくというありがちなストーリーだ。






今話題の映画だったからエースと来れてよかった…






チケットくれたデュースには感謝しなくちゃ…








　＊








　
『面白かったね！』







「最初はつまんねーと思ってたけど
後半のアクションシーンとかめっちゃ良かったし、
やっぱ今人気なだけあるよなー」







『そうだね、来てよかった！このあとはどうする？
どこか寄ってから帰る？』







「…あー、監督生、俺買いたいものあるから
ここでちょっと待っててくれる？すぐ済むから」







『え？うん、わかった』







一緒に行けばいいのに……
買いたいものって何だろ






　
　ドンッ






　
すると、私の腕が背の高い男の人にぶつかった。







『あ…すみません』








「ってぇなテメ…ってお前……さっきの…」







『え！！？』







運悪く、ぶつかった男の人は
さっき女の子をナンパしてた
ガラの悪い集団の1人だった。
男の人はニヤリと笑うと、私の腕を掴んだ。







(男1)「いいとこで会ったなー、
さっきの彼氏もいねぇみてーだし、俺らと遊ぼーよ。
3人あっちで待たせてるから行こうぜ」








『え、ちょっと！やめてください！』







　
私は必死で掴まれた腕を振り切り、
その場から走って逃げた。







　
(ど、どうしよう！エース置いて来ちゃった…！！)







　
　
「あー…逃げた。まぁいいや、こっちは4人いるし」

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