付き合っている気でいる彼氏と片想いだと思い込んでいる彼女。【エース・トラッポラ】

file.15 主人公 ページ17

その日の夜




「は〜…部活疲れた…」





『エース！』





「うわっ！…なんだ、監督生かよ…
びっくりしたじゃん…てか、どうしたの、
もうだいぶ遅いけど」






『エースってさ！この中なら誰が好み！？』






そう言って私は可愛い女の子のモデルさんが
何人も写った雑誌を広げた。
着ている服のジャンルはどれもバラバラだけど
みんなオシャレだ。






「は…？」






ふふん、アズール先輩に教わった方法だから
きっと大丈夫！

これでさりげなくエースの好みのタイプを聞ければ…






「……なに、選んで欲しいわけ？」






あれ…？なんかエース、怒ってる？
急に声色が……





『え、うん。
エース可愛い服が似合う子好きそうだし。
…あ、でもそういうの関係なく誰でもいいタイプ？』






「……は？待って、俺ってそういう風に
思われてたワケ？そんな軽そうに見える？」






『え？なに、どうしたの？何で怒って…』







私が言い終わる前に、エースは私の腕を掴んだ。






「監督生さ、無神経だと思わねーの？
誰でもいいとか言われて
俺が傷つかないとでも思った？」






『え……？』






私が何も言えないでいると、
エースは私の腕を離し、背を向けて歩いていった。






「…………悪い。ちょっと頭冷やすわ。
あと、やっぱ映画はなかったことにして」







『えっ！？ま、待ってエース！』







私がいくら後ろから呼びかけても、
エースは振り向いてくれなかった。
　






　

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