第三十五話 ページ37
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「はぁ……」
帰宅してひと段落すれば自然と溜息が出た。
静弥に全てを話して気持ちは落ち着いた。
普段泣くことなんてないのに、
ましてや人前では尚更のこと。
でも、湊に出会う前から、
幼い頃からずっと一緒にいる静弥の顔を見れば
一瞬で何かが吹っ切れて、
気付けば涙がとめどなく流れていた。
酷く安堵した。
それと同時に弓道部のみんなには何も話さずに
去ってしまったことが申し訳なく感じる。
特に小野木くんには誤解されているし……
きっと静弥が説明してくれたとは思うけど、
今度直接伝えに行こう。
──ピンポーン
突然インターホンの音が鳴り響いた。
モニターを確認しなくても誰か分かった。
玄関のドアを開ければ、予想通りの人が
其処に立っていた。
「静弥……」
「はいこれ。また忘れ物だよ。
……あれから、どう？ 落ち着いた？」
──また、そうやって静弥は……
何度目だろう。
鞄を学校に忘れるのも、
その度に静弥が笑いかけながら訪れるのも。
何かあったら、誰よりも一番に
気づいてくれることを、私は知っている。
「うん、もう平気だよ。……ありがとう
いつも静弥には頼ってばかりだなぁ」
「今更何言ってんだか。
Aはいつもほっとけないんだよ。
──昔からね」
本当にその通りだと思い、互いに笑い合う。
幼い頃からいつも一緒だった。
何処に行くにも彼の小さな背中を追って、
ときに隣に並んで。
笑って、泣いて、喜んで、悩んで。
それは今でも変わらないけれど、
少しずつ大人になっていく。
「私、強くなりたい。
……ううん、強くなりたいんじゃなくて」
──強くなるよ
私の思いが伝わったのか、
静弥は柔らかな笑みを浮かべた。
「それじゃあ、また明日。
まだ時間が早いけど、おやすみ」
「あ、ちょっと待って」
背を向けて家の方に向かおうとしたけれど、
呼び止められて足を止める。
「Aは、湊がこんなに早く戻ってきたことに
ついて何か思わなかったかい？」
「え、 どうだろう……」
よく考えてみれば湊があれだけ拒否していたにも
かかわらず、彼はすぐに戻ってきた。
「本人に聞いてみないと分からないか……
呼び止めてごめん。今度こそおやすみ」
静弥の背中は少し寂しそうに見えた。
──もしかすると、あの人が原因かも
あの青い髪の人。
ふと脳内を横切った。
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千花(プロフ) - ぴぴるぴーさん» 素敵なコメントありがとうございます！新年早々既に風邪を引いてしまいましたが、頑張りたいと思います。愁くんのお話もそのうち更新していけたらと思っております。どうぞ今後とも宜しくお願い致します！ (2019年1月1日 8時) (
レス) id: a0bb3f43ee (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - 本当に素敵なお話で！もう、きゅんきゅんしながら読ませていただいています！愁君のお話もです！お体に気をつけて、更新頑張ってください。楽しみに待ってます！ (2019年1月1日 6時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
千花(プロフ) - Tao音さん» こんばんは。温かいコメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しいです！頑張って更新を続けてたいと思いますので、宜しくお願い致します。 (2018年12月25日 23時) (レス) id: a0bb3f43ee (このIDを非表示/違反報告)
千花(プロフ) - 終夜さん» こんにちは。いつもありがとうございます。私自身このようなことは初めてでとても吃驚しましたし残念に思いました。私よりも文才がきっとある方だと思いますので、ご自身の作品を大切にしてほしいと思いますね…… (2018年12月20日 12時) (レス) id: a0bb3f43ee (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - え、盗作？とうさく？トウサク？とても悪い行為ですが、それほど、千花さんの語彙力が羨ましかったのでしょうね。とてもお辛いと思いますが、お気を休めて下さい！ (2018年12月19日 22時) (レス) id: 7fadf68605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千花 | 作成日時：2018年11月17日 22時
