記録5:孤独感 ページ5
「もういいわ。疲れたから私は寝る」
「私もそうするわ」
金髪の女と黒髪の女が森の奥に入っていった。
「ねぇ、小屋ってどういう…」
僕は彼女達の言っていた言葉が気になった。
「サバイバー用の部屋だよ。といってもベッドと明かりと少しの予備品があるだけだから、小屋って言った方が正しいかも。」
メガネをかけた男が説明した。
「へぇ…」
「僕もそろそろ寝るよ。今日は儀式がないし、久々にぐっすり寝れるかも」
「おやすみ」
彼女が男に手を降った。
焚き火の炎が揺れる中、沈黙が生まれた。
「…私ちょっと」
彼女がそういい、森の奥に入っていった。
まぁ確かに今はサバイバーだけど元キラーだし、信用は出来ないよね。
ぼくは一人納得した。
「はぁ〜あ…何でこんなことになったんだろ…」
焚き火の炎を見ていると、不思議と涙が溢れてきた。
自分のせいなのに、何故か信用されないことに孤独感を感じた。
この苦しみを埋めてくれるのは…Aしかいない。
彼女の声、仕草が僕の不安を安心に変えてくれる。
「戻ってきて…」
圧し殺しながら情けない声を出して体を丸くして顔を埋める。
「何してんの?」
彼女の声が後ろからした。
嗚呼、やっと来てくれた…。
「え…な、なんで?寝て…るんじゃな…かったの?」
泣きながら言ったのか言葉が詰まってしまった。
彼女には伝わったのだろうか…。
「あんたの部屋があるのか確認しに行っただけよ。で、無かったから予備用のこれ、持ってきたの」
彼女の手に持っていたのは寝袋だった。
僕のためにそこまでしてくれるなんて…。
僕はまた泣いてしまった。
「なんで泣いてるのかは聞かないでおくけど、泣いてちゃ何も変わらないわよ?」
違う。今泣いてるのは君の優しさが嬉しくてだ。
「ううん…嬉しくて…」
「何が?」
「君の優しさが…ひっく…嬉しくて…」
「…そう。」
彼女は僕の隣に腰掛けた。
嗚呼、この安心感は彼女だけしか持ってないな…。
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作者名:おひさま | 作成日時:2021年11月28日 16時