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なんだ、そんなこと？
って、彼はいつもみたいに笑うけど、こんなの出任せでしかない。
「じゃあ外行こ」
「え、ここでいいじゃん」
「いや、外、みんなもいるし」
ここじゃなくて？ていうか2人で撮るの？
と、一番避けたかった質問が飛んでくる。
ほんとは、写真なんかどうでもいい。
ちょっとだけこうしていられたら、それで。
けど、その言葉はいつまで経っても言えそうにない。
ただでさえ、心臓がバクバクしているのに。
「え、何、連絡ならまたするよ？」
俺が卒業を寂しく思っていると思ったのか、彼はいつもみたいに優しく笑った。
「待って、違う」
口をついて出た否定の言葉から言いたいことが溢れて、どうしたらいいか分からない。
「嫌なんだよ、」
「ん？」
「みんなと離れるの、怖い」
「怖い？」
『みんな』に隠している真実が、まだ見抜かれてないといいけど。
聞き返されて、自分が言ったことが急に恥ずかしくなって撤回する。
「ごめん、忘れて」
「なんで」
だって、そんなの、頼りなさすぎるし。
一応、
「年上、だし」
彼はまた、え？とか言って笑う。
深刻さの度合いがぜんぜん違うんですけど。
「言うほど離れてないじゃん、だって一個だよ」
「それはまあ、」
「言いたいこと言ってよ」
「……っ」
こっちの事情を分かってるのか分かってないのか、阿部ちゃんが立ち止まる。
俺は強引に歩き出してみるけど、彼は動こうとしないから、困る。
けど。
もう少しで廊下が途切れるから、今のうちに言わないとチャンスはもうない。
「あの、」
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作者名：こころ | 作成日時：2020年3月6日 18時
