おまじない ページ7
ごめんね、と謝りながらも不敵な笑みを浮かべ、俺をジッと見つめた。
この体勢の状態で、見上げるAさんの顔は影があるせいか大人びて見えて。
温かい手のひらは、髪を優しく撫でて抱き寄せてくれる
そう、この温度が欲しかったんだ。
「お願い事はするのかい？」
「...ミサンガ、ですか」
「うん。」
Aさんの指先が、俺の手首に触れて熱を残す。
それに合わせて俺も考える。欲しいとは思ったがその先を考えていなかった。
願い。
そりゃただのおまじないだから。
世界が一瞬で俺のものにはならないし、空の色を自由自在に変えることもできない。
でも、おまじないだからこそ、一瞬で全てを賭ける。
だとしたなら、俺の願いは...
「...決めました、お願い事」
「そう？じゃ、付けてあげようか。」
光を弱く飲み込んだミサンガは、手首に巻かれた瞬間に輝いて見えた。
ミサンガを確認してから、視線をAさんに戻す。
綺麗な瞳と笑顔に釣られて俺も笑った。
「なんか幸せだね」
そう呟く貴方の口元は、緩やかな曲線を描いて美しい色を保っている。
俺には俺の顔は見えない。だけど、幸せで笑えていることは確実だった
心臓から送り出される血液のように、体に強く愛に近い物が走り巡り
やがて心臓に戻って、鼓動を高鳴らせている。
「...すごく、幸せですよ」
幸せが滞ったのか、手先や頬に異様な熱を感じた。
微笑んだり想うだけでこんな風になるなんて、仕組みもわからない俺には不思議で
でもこれが幸せの現れなんだと思うと、それだけで心は育つ。
「...何をお願いしたの？」
「言えません、言ったら叶わなくなっちゃいます」
「そんなに大切なことなんだね。」
【貴方が元気になって、もっと幸せになれますように】
なんて、な。
叶う叶わないの前に、言うことも苦しくなりそうだ
だから今だけは内緒にしておこう。
きっと叶わなくたって、その時の俺は多分ずっと貴方を想っているだろうし。
「私のお願いは七夕にでも書こうかな。」
「お願い事、あるんですか？」
「勿論、あるよ。 ...あ、でも教えてあげないから！」
「わかってますよ」
その願いがどうか、貴方を逃がすような願いじゃありませんように...
この鼓動が痛めつけられるような、願いじゃありませんように。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
