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「ごめんね、もう行かなきゃ」
涙ぐむ貴方は瞳がキラキラしてて、不謹慎ながら美しかった。
離れる体温に惜しさを感じながらも、俺は泣くまいと歯を食いしばる。今だけは泣きたくない。
さようなら、俺の初恋。
帰ってこなくていいから、どうかこの人を最高に幸せにしてやってくれないか。
それが、この人を愛した俺の使命なんだって、思うんだよ...
.
.
.
式が始まりそうになるにつれ、人は会場に入りわいわいと喋りながら席に着き始める。
俺もこみ上げる気持ちを飲み込み、用意された椅子に座った。
はぁ、と安堵のため息を漏らした俺に、隣に座っていた瞳子さんが優しく問いかける。
「幸せかしら？」
「...ええ、多分」
どっちがと言わないのは、どっちもと言いたいのを抑えたからだろう。
俺はただ冷静に答えて、開始を待った。
刻々と時間が過ぎ、式が始まる。不特定多数の拍手喝采とパイプオルガンの音色が響き渡った。
コツコツと軽やかな足音を立てて、新郎である風丸さんが祭壇の前に現れる。
その表情は誰が見てもわかるくらい幸せそうで、頬が緩んでいるのが俺でもわかった。
ヴァージンロードの最奥にある扉がゆっくりと開く。
父親代わりにヒロトさんが腕を組み、背景と合って一層美麗なAさんが前へ踏み出た。
ゆっくり、おしとやかに進む二人は兄弟らしさが出てて、家族って感じがする。
一度Aさんがヒロトさんに微笑みかけると、ヒロトさんも珍しく笑っていた。
ヴァージンロードの道が終わり、ヒロトさんからAさんが離れ壇上に上がる。
スピーチが流れ、紹介が終わっていく。
そして、いよいよと神父が壇前で本を上げ、誓いの言葉を読み上げた。
【あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。
あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、
貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、
堅く節操を守ることを約束しますか。】
「約束します。」
二人の声が重なり、風丸さんからAさんへと指輪が渡る。
ベールを上げられると、背の低いAさんに合わせ、風丸さんが少し屈んだ。
一層近づく距離に、互いが頬を赤く染めて微笑み合う。幸せそうで、くすぐったそうな。
静かに。
音もなく。
二人の唇が重なった瞬間。
... ...気づかないうちに、俺の目から涙が、すっと零れ落ちていった。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
