誘 拐 犯 。@K.Tomohiro

episode 7 ページ7

あの日から時は流れ、季節は夏。



2年生だったアタシ達も2人危なかったものの、無事全員留年する事なく3年部に上がり、期末の大きなテストが直前に迫っている。



花「なぁ、Aはもうテスト行ける？」



アクセサリーに重きを置いた雑貨屋でバイトをしている私に、同じくバイト中の花奈が話しかけてきた。



『な訳ないやん！』


商品を整えるフリをしながら答える。


花「今回さ、異常に範囲広くない？」

『それアタシも思うてん。大毅ら進級試験よりヤバいんちゃう？』

花「流星もや。 勉強しよると思うとったら寝てたとか日常茶飯事やで！」

『その点神ちゃんは安定よなぁ…』



平日の夕方という、雑貨屋にとっては最強に暇な時間も手伝って、話に花咲くばかり。



気づけば閉店時間を表す蛍の光が店内に響き渡っていた。





花「なんか今日、全く働いてない気がする。」

『それアタシもや。』

花「テストにバイトに、ほんまにやる気なくす事ばっかやなぁ…」

『あー。夢の世界に旅立ちたい…』

花「流星は今日もう旅立っとんやろなぁ…」

『流星はほんまの夢、やな。』


自分の話の切り返しに、2人ともが爆笑して、話が途切れた。




梅雨時の雨上がりの横断歩道、駅までの道は静寂に包まれていた。



そこにベッドがあれば寝れる、その言葉が正に当てはまるような状況と環境を、



ﾋﾟｺﾝｯ、



と、ある1本のLINEが破った。

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