柳田と柳田、そして石川。37 ページ38
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もわっとした熱気が襲って来て、ああ外に出たんだ、と自覚する。
しっかり歩けてるのか、そもそも進んでいるのかも、よく分からない。
「……、」
重い。
……なんて、1歩が重いのだろうか。
『前は治るかもって言ったけど、無理ね』
『薬もだんだん効かなくなってきたんでしょう?違う?』
『吐き気もこれからは出てくるかもしれないわ。逆に今まで無かったのが凄いわよ』
『……どうするの?これから』
ふう、と息を吐いてから、空を仰ぐ。
今日はなんだか雲が多い。あ、飛行機雲だ。
「……」
『バレー続けるの、あたしは反対よ?』
あたしは、とその部分を強調する先生を思い出すと、なんだか笑える。
相変わらずユーモア溢れるお医者さんだこと。
それに……
「Aさん!!」
「……?」
すると、突然名前を大きな、懐かしいような声で呼ばれて、その方を向く。
「……石川く、……っ!、」
「っ……」
それが誰なのか。
認知した瞬間にはもう強い力で引っ張られて。
「…Aさんっ、……」
ぎゅうっと、ぎゅぎゅうっと。
肩の骨でもくだけそうなほど、強く強く、抱きしめてくるのは、きっと。
肩越しにはうっすらと、柳田さんも見えた。
…何事。そして何故ここに。
かと思えば急にバッと体を引き離される。
今度は肩にくい込む指が痛い。
「……Aさん、」
「…はい」
「…し、……」
「……し?」
し?
というか、なんでそんなに……、泣きそう?
その疑問はすぐに、解決する。
「し、死んじゃダメです!!!絶対!!」
「……は?」
…さてさて。
そんなマヌケな声を出したのは、あたしか、柳田さんか、どっちだと思います?なんて。
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みずき(プロフ) - 久しぶりに伺いました。ダラダラとは感じてないし楽しくて読ませていただいてます!!これからも更新楽しみに待ってます! (2017年1月10日 8時) (レス) id: ef18299a82 (このIDを非表示/違反報告)
美紗(プロフ) - 今一気読みして読み終わりました!まえださんのお話とても面白いです!これからも頑張ってください(^-^) (2016年12月12日 18時) (レス) id: be30bc9546 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - キャラクターは書いている内に勝手に動き出す!って言いますよね! 本当にまえださんの書く祐希くんは可愛くて男らしくて大好きです! まえださんの心のままにどうぞお体にお気を付けてゆっくり更新して下さいませ。ステキなお話ありがとうございます! (2016年12月12日 7時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - サラさん» 自分の石川祐希像が現れてしまっている……(笑)ここからどう恋模様に繋げようか、子犬が狼になる瞬間をどう描こうか模索中です( ̄▽ ̄) (2016年12月9日 4時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - まえださんの書く祐希くんはとても可愛くて素直で良い子でキュンキュンします! (2016年12月8日 6時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まえだ。 x他1人 | 作成日時:2016年6月16日 15時