柳田と柳田、そして石川。23 ページ24
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「Aさん、なんかあったんですかね〜」
グイグイ、と体を伸ばしながら隣で祐希が言う。
結局、試合が終わったその日も、その翌日も、そのまた次の日、つまり今日になっても、Aからのメッセージは、一向に送られてこなくて。祐希が三人のグループに『Aさーん、』という言葉と共にいつものスタンプを押しても、返答はなかった。既読さえ、つかないという。
なんだか胸のあたりがザワザワしている、……気がする。
「でも今日も女子はいるだろ」
「まあ、そっすよね。もしかしたらまた寝てたー、とかかもしれないし……」
「……」
ってAさんめっちゃ寝るな!?なんて祐希がひとりツッコミをしているのをスルーしながら入念にストレッチをする。……馬鹿かこいつは。相変わらず脳天気なやつ。
今日だって負けられない1戦だ。気を緩めることなんて出来やしない。
すると、ふと視線を感じ、顔をあげる。
それは気のせいでも何でもなかったようで、パチッと珍しい人物と目が合った。
「……?……」
「……え、マサさんどこ行くんすか?」
「いや。……ほら、ちゃんとストレッチしとけよ」
「や、しますけどー……」
相変わらず犬みたいなだなこいつは、なんて思いつつ、その場を離れる。
向かうのは、靴紐を結び直しているその人物の元。
「……なんだよ、急に」
「や、マサさんには話しておこうかなと思って」
「俺には、?」
「はい」
何故かちょいちょいっと手招きしてきた珍しい人物___山内は、「祐希に言うと、プレーに支障が出そうなんで」と、少し小声になって。
「A、今日の試合は来ないみたいです」
「……は?なんで、」
俺はその言葉に、ただただ目を丸くさせることしか出来なかった。
「母親が今日、亡くなったって」
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みずき(プロフ) - 久しぶりに伺いました。ダラダラとは感じてないし楽しくて読ませていただいてます!!これからも更新楽しみに待ってます! (2017年1月10日 8時) (レス) id: ef18299a82 (このIDを非表示/違反報告)
美紗(プロフ) - 今一気読みして読み終わりました!まえださんのお話とても面白いです!これからも頑張ってください(^-^) (2016年12月12日 18時) (レス) id: be30bc9546 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - キャラクターは書いている内に勝手に動き出す!って言いますよね! 本当にまえださんの書く祐希くんは可愛くて男らしくて大好きです! まえださんの心のままにどうぞお体にお気を付けてゆっくり更新して下さいませ。ステキなお話ありがとうございます! (2016年12月12日 7時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - サラさん» 自分の石川祐希像が現れてしまっている……(笑)ここからどう恋模様に繋げようか、子犬が狼になる瞬間をどう描こうか模索中です( ̄▽ ̄) (2016年12月9日 4時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - まえださんの書く祐希くんはとても可愛くて素直で良い子でキュンキュンします! (2016年12月8日 6時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まえだ。 x他1人 | 作成日時:2016年6月16日 15時