柳田と柳田、そして石川。22 ページ23
▽
部屋に入ると、父がいた。
「……A、」
「…、」
「わざわざ、悪かったな」
案内されたのは個室。母はまだ、眠っていた。
もうずっと会っていなかったその顔は、どことなく痩せた気がする。シワも、けっこう増えたんじゃないかな。
「…来てくれて、ありがとう」
「……来るよ。…死んでほしくなんてないし」
「…、！」
「…元気そうやね、お母さん」
眠ってるのにそんなことを思うなんて馬鹿ね、って、お姉ちゃんがここにいたら笑うかな？
でも、ほんとにそう思ったんだ。
明日になれば、また普通に笑ってくれるような、そんな顔をしているから。
……久しぶりに、見たからかな。
「あんまり連絡せんで、……ごめん」
母の髪にそっと触れるとすごくサラサラで。
あぁ、あたしの毛並みは母親譲りなんだな、なんて、いまさら気がつく。
みゆき、と父が母の名前を呟いたのが小さく聞こえた。
「……あたしの試合、見てくれてた？」
「……ああっ、……当たり前だろう、」
「そっか、」
「ずっと……ずっと、……っ、」
「……うん、ごめん」
結局、連絡できなかったのは、会いに行かなかったのは、あたしに変な意地があったからだ。
『どうしてバレーなの！？』
散々人に押し付けておいて、終いには泣きついてきて。
『お姉ちゃんのことはもう、忘れた……？』
……でも分かってた。
お母さんが人一倍、誰よりもお姉ちゃんの死を悲しんでたことも。
『体、壊さないようにね』
バレーだってほんとはちゃんと、応援してくれていたことも。
分かってた、のに。
「……リオは、来てよ……ちゃんとチケットも送るし、」
＿＿＿＿＿
＿＿＿
「昏睡状態で、いつ目覚めるか……」
「あんた医者だろう！？医者ならなんとかしてくれ！！頼む、頼むよ…」
「…すみません。手は尽くしましたが、このまま明後日までに目を覚まさないとなると、覚悟しておいて下さい」
「………覚悟、って、」
「二度と目を覚まさないかもしれない、ということです」
「……」
＿＿
＿＿＿＿＿
結局その日、母の目が覚めることは一切なく、あたしは病室で一夜を明かした。
▽
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みずき(プロフ) - 久しぶりに伺いました。ダラダラとは感じてないし楽しくて読ませていただいてます！！これからも更新楽しみに待ってます！ (2017年1月10日 8時) (
レス) id: ef18299a82 (このIDを非表示/違反報告)
美紗(プロフ) - 今一気読みして読み終わりました！まえださんのお話とても面白いです！これからも頑張ってください(^-^) (2016年12月12日 18時) (レス) id: be30bc9546 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - キャラクターは書いている内に勝手に動き出す！って言いますよね！ 本当にまえださんの書く祐希くんは可愛くて男らしくて大好きです！ まえださんの心のままにどうぞお体にお気を付けてゆっくり更新して下さいませ。ステキなお話ありがとうございます！ (2016年12月12日 7時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - サラさん» 自分の石川祐希像が現れてしまっている……（笑）ここからどう恋模様に繋げようか、子犬が狼になる瞬間をどう描こうか模索中です(￣▽￣) (2016年12月9日 4時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - まえださんの書く祐希くんはとても可愛くて素直で良い子でキュンキュンします！ (2016年12月8日 6時) (レス) id: 58f1eda3d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まえだ。 x他1人 | 作成日時：2016年6月16日 15時
