柳田と柳田。過去編 33 ページ34
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ほんとうに、変な人だ。
でも、それよりも変なのは、
「あたしは、小さな頃からバスケをやってたんです」
きっとこの先誰にも話さないのだろうと思われていた昔話を、彼に話そうとしている、あたしだ。
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バスケを始めたのはいついつで、なんて明確なものはなくて。バスケットボールがいつの間にか生まれた時から側にあった、そんな感覚。
それもこれも、唯一の姉妹である、姉の影響だった。
姉は6つ年上で、バスケが大好きな人だった。家には姉特製のバスケットゴールまであったし、晴れたら毎回と言っていいほど、2人でバスケをして遊んでいた。あたしが小学生に上がるころには、姉は、日本でなかなかに注目を集める選手にまでなっていた。
『ねぇ、A。背が低くてもね、バスケはできるんだよ』
それが、姉の口癖だった。
それを言っている彼女の姿は今でもはっきり思い出せるし、そう言いながらシュートを打つ姿も、目に浮かぶよう。
『ふふ、Aはまだ分かんないか』
しかし、その頃幼かったあたしにそんな姉の言葉の裏に隠された感情などは、到底分かるはずもなく。
姉がバスケ選手にしては小さめの背だったのを知ったのは、中学のバスケ部に入ってからだった。
その時にはもう、姉はあたしの目の前から居なくなっていた。
『A、お姉ちゃんは事故でいなくなっちゃったの』
『大丈夫だぞ、A。お姉ちゃんはきっとお前のことを見てくれている』
父と母は、あたしにそう言った。何度も何度も。……その姿は、あまりにも滑稽だった。哀れ、だった。
自分たちに言い聞かせてるんだ、って、そう分かっていたから。
『だからA、あなたはバスケを続けて?』
……その頃からだった。
あたしが感情を表にださなくなったのは。
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まえだ。(プロフ) - 成瀬▼さん» ありがとうございます(;▽;)頑張り、ます!!! (2016年11月28日 23時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬▼(プロフ) - まえだ。さん» わぁ!来た!って感じに声が出ちゃいました、笑 書いてたらそういう時もありますよ!、自分も書き手なのでその辺めっちゃわかります、笑笑 更新してください!笑 いくらでも待ってます( 'ω')/ (2016年11月28日 20時) (レス) id: 38f3ec8e87 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - 成瀬▼さん» きゃーーーー!!なんたる嬉しいコメント(テンションが高い笑)……と共にお待たせさせ過ぎてしまったという罪悪感が今襲ってきております……更新します、しますよ!こんな作者なので(笑)、気長に待っていて下さると嬉しいです(;▽;) (2016年11月28日 20時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬▼(プロフ) - “「柳田と柳田。」が更新されました”っていう通知が来て思わずテンション上がりました、笑 お忙しいかも知れませんが更新するのを応援してます( ´ ▽ ` )ノ (2016年11月28日 20時) (レス) id: 38f3ec8e87 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - iceAcinderellaさん» ありがとうございます(^ν^)続き、パスワード外しましたんで、まだ設定しかないんですけど(笑)、よろしくですです。 (2016年6月20日 1時) (レス) id: 4cf1416a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まえだ。 x他1人 | 作成日時:2016年5月22日 18時