柳田と柳田。26 ページ27
▽
「……あれ、Aさん、？」
ひょこひょこ、とトレーナー室から出てきた石川くんは、あたしの顔を見て、なんで？とでも言いたげな表情だ。……やっぱり、足だったんだ。
「……え、もしかしてAさんも、」
「え、あ、違う違う、」
思わず黙り込んだあたしを勘違いしたのかそう聞いてきたから、「
ほらあたし、健康人間だし。というと、石川くんはいつものように笑った。
「でもすみません、わざわざ来てもらっちゃって」
「いや、全然。……、」
「あー、……まぁそんな深刻じゃないらしいんすけど、笑」
いやでも、深刻じゃなくても深刻でも、怪我は怪我にかわりはない。ましてや石川くんは若いし、まだまだこれからがある。
「あ、肩貸すよ」
「え、い、いいですよ！そんな！」
「だめ。そんなひょこひょこ隣で歩かれても、あたしが困るし」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
うん。こういうときは、強くいうがよし、だな。
ぐるり、と肩に乗っかった腕は、やはりたくましい。あ、意外と筋肉あるんだな、とかあたしは変態か。
「大丈夫？しんどくない？」
「あ、大丈夫っす。……むしろ、Aさんが大丈夫ですか？」
「あたしは別に大丈夫」
「なら、俺も大丈夫です」
……うん。また今のキュンポイントだよね。『俺も』っていうところが、乙女心をわかってるわこの子。隠れた肉食系か？噂のロールキャベツ系男子か？ファンが知ったら黙ってないだろうなぁ……。
そんなことを悶々と考えていると。
「……Aさん今、何考えてます？」
肩を貸しているからか、いつもよりも石川くんの顔は近くにあって。声も、よく届く。
「何って、」
「……もしかしてマサさんのこと、考えてました？」
「……え、？」
そう言う石川くんの笑顔は、いつものあの輝いたようなものじゃなくて、なにかこう、悲しみを織り交ぜたような、そんな。
……でも、なんでここであの人が？
「……いや、石川くんのこと考えてたけど、」
「……え、？」
「石川くんってロールキャベツ系男子なのかなぁ、とか」
「……ろ、ろーるきゃ……？」
あ、いつもの石川くんに戻った。……うん、きっと、気のせいだよね。
▽
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 528人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まえだ。(プロフ) - 成瀬▼さん» ありがとうございます(；▽；)頑張り、ます！！！ (2016年11月28日 23時) (
レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬▼(プロフ) - まえだ。さん» わぁ！来た！って感じに声が出ちゃいました、笑 書いてたらそういう時もありますよ！、自分も書き手なのでその辺めっちゃわかります、笑笑 更新してください！笑 いくらでも待ってます( 'ω')/ (2016年11月28日 20時) (レス) id: 38f3ec8e87 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - 成瀬▼さん» きゃーーーー！！なんたる嬉しいコメント(テンションが高い笑)……と共にお待たせさせ過ぎてしまったという罪悪感が今襲ってきております……更新します、しますよ！こんな作者なので（笑）、気長に待っていて下さると嬉しいです(；▽；) (2016年11月28日 20時) (レス) id: 0f6ce9faf2 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬▼(プロフ) - “「柳田と柳田。」が更新されました”っていう通知が来て思わずテンション上がりました、笑 お忙しいかも知れませんが更新するのを応援してます( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年11月28日 20時) (レス) id: 38f3ec8e87 (このIDを非表示/違反報告)
まえだ。(プロフ) - iceAcinderellaさん» ありがとうございます(＾ν＾)続き、パスワード外しましたんで、まだ設定しかないんですけど（笑）、よろしくですです。 (2016年6月20日 1時) (レス) id: 4cf1416a93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まえだ。 x他1人 | 作成日時：2016年5月22日 18時
