柳田と柳田。

柳田と柳田。18 ページ19

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「……お前髪触りすぎ」

「へへ、だってAさんにセットしてもらったんですもん」

「それさっきも聞いたから」








普段髪なんか気にしないのに、また触ってる。「嫉妬ですか？マサさん」なんてニヤニヤしながら聞いてくるもんだから、もう無視だ無視。ファンの人にその間抜け顔を写真に収めてもらえばいい。









「マサさんもセットしてもらえばいいじゃないすか〜」

「……開脚しろ、押してやる」

「うわ、鬼が出た鬼が」









あの日に「気になるかもしれない」的なことを言ったからか、祐希の俺に対するなめっぷりが加速した気がする。……まぁそれでも、気まずくなるよりは何倍も何百倍もこっちの方がましだとは思うが。ただ、ましなだけで、いいとは言っていない。









「でもやっぱ好きだなぁ、Aさん」

「……俺はそれにどう返事すれば、いいんだ」

「えー別に黙って聞いてもらえたらいいですよ、笑」







応援してくれてるとかそういうのでもないし、邪魔しようとかそういうのでもない。祐希の行動も、今の発言も、俺にはやはりよく分からない。



というか黙って聞いてて、って。なんだ俺は。祐希の恋の相談相手か、っての。まず先輩だし。分かってんのかなこいつは。









「そういえばあれっすよね。前より男のファンの人、増えてません？」









それは俺も入ってきた時、思った。少し、というよりは、だいぶ増えた気がする。ちらほら女性ばかりのところに何人かグループで居る。さすがにポツン、とひとりでは居ないが。








彼らはきっと、いや、確実に、Aを見に来たんだろう。









「やっぱりAさん、人気あるんですねぇ」

「そりゃそうだろ。ほら、女子にも人気あるくらいなんだから」

「あ、ほんとだ。目がハートになってる、笑」









さすが『女子バレー会の王子様』だ。女子も虜にしている。まぁ、こんなことを本人に言ったらまた睨まれるんだろうけど。









「おーい２人とも、ちょっといいか？」








そう言ってきたのは福澤さん。相変わらず肩がいかつい。あと、顔も。根はすごく優しいんだけど、子供には怖がられる、って言ってた。









「今日、急遽女子と交流戦、することになったから」

「えっ、」

「……ほんとに急っすね」

「そうなんだよ。……まあなんか、」







『試したいことがあるらしいわ』









それに俺は、心当たりがあった。








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