犯人探し 〜1〜 ページ27
それから数日後。
サムは練習場でキーズたちと練習していた。
みんなフロイドの話には触れない。
「サム。練習どう?キツくない?」
「ニコルさん。はい。何とかついていってます」
「何とかじゃなくて余裕の間違いだろ?」
キーズもやって来た。
「そんな…」
「監督が、次の3ヶ月後にある大会にサムも出場させるって言ってたぜ?」
「本当ですかっ!」
「そ。だからさ、監督の期待を裏切らないように、頑張って練習しろよ。誰かさんはその期待を裏切ったんだからな…」
「キーズっ!やめろよっ」
「あんなに偉そうにしてたくせに…。あんな事するヤツなんて思ってなかったよ…」
「僕は…、フロイドさんを信じてます。どう考えてもフロイドさんがそんなセコイ事してまで成績を残したいとは思えないんです」
「まぁな…。俺も…アイツは大っきらいだが、パルクールを好きでやってるのは分かってた。だから余計に腹が立つ」
「キーズ…」
「まぁ、何を言っても…結果が出てんだ。覆すのはおそらく無理だろうな…」
キーズはそのまま練習に戻って行った。
その日の練習が終わり、みんなどの選手も更衣室に向かう。
サムは最後まで練習場に残って片付けをしていた。
「ヤバっ!早く着替えなきゃっ」
既に着替え終わった選手たちが帰って行く。
サムは一人ずつ丁寧に挨拶をしながら更衣室へ向かう。
更衣室のドアがほんの少しだけ開いていた。
そのドアノブに手を掛けた瞬間、中から声がした。
「んっ……」
〜えっ?〜
ドアノブからすぐに手を引っ込め、息を潜めた。
「んんっ…。大…好き……」
「俺もだよ…」
「本当に…?」
「ああ…。この後…俺の部屋に来い…」
「うん…」
「もっと良い事してやる…」
どちらも知っている声だった。
キスをする音まで聞こえてくる。
〜嘘でしょーっ……〜
サムの鼓動が速くなる。
「まだサムが戻ってないな」
「うん…。たぶん片付けしてるんじゃ……んんっ……」
またキスをする音が聞こえる。
「サムに見られたらマズい。今はこれで我慢しろよ」
「うん…」
〜ヤバイっ!こっちに来るっ〜
サムは急いで壁から飛び出ている柱の影に隠れた。
間もなくして更衣室のドアが開き、室内の明かりがもれた。
「久しぶりに飯でも食いに行くか?」
「いーねぇ。何食べよっかな〜?」
〜キーズさんとニコルさんっ…〜
更衣室から出てきたのはキーズとニコルだった。
何事も無かったような会話をしていた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時