心の変化 〜6〜 ページ9
フロイドが移植希望の同意書にサインをしてから数週間後。
「フロイド。喜んでください。ドナーが見つかりました」
「マジでっ？早くねっ？」
「ええ。移植するにはまたしばらく入院が必要です。学園の方はアズールが対応します。フロイドは入院の準備を」
「いつ？」
「入院は明日です。そして検査を行い、問題無ければ明後日移植手術を受けます」
「ドナーは…？」
「知ることが出来ないのは承知でしょう？」
「……うん…」
「それと、今回の移植は片目だけです。それでも見えないより全然マシですよ」
「うん…。見えるようになればね…」
「Aさんにも、早く報告してあげてくださいね」
フロイドはAの部屋に行き、報告した。
「本当ですかっ！」
Aの目から涙があふれてきた。
「まだ泣くのは早いってぇ〜。ちゃんと見えるようになるかも分かんねぇんだしさぁ…」
「それでも…、それでも嬉しいですっ。移植手術、頑張ってくださいね！」
「うん。今回の手術はジェイドが付き添ってくれるんだって。だから、Aはまたしばらくアズールと登校してね」
「はいっ！手術が終わったら、お見舞いに行って良いですか？」
「そーだね〜…。あ、今回はここで待ってて〜」
「そう…ですか…」
「もし見えるようになったらさぁ、オレがAのところに一人で行きたいからさ」
「分かりましたっ。絶対成功しますよ！」
「うん。詳しい事はジェイドからその都度連絡行くと思うし、楽しみに待っててね〜」
「はいっ」
まだ移植が成功するかも分からないが、希望が見えたことで嬉しさが込み上げて止まらなかった。
翌日。
フロイドたちは鏡の間に来ていた。
「ではアズール、Aさん。行ってきますね」
「ええ。移植が成功するのを願っていますよ」
「A〜。行ってくるよ〜」
「はい…。本当に…、頑張ってくださいね…」
「うん」
フロイドはAを優しく抱きしめた。
そしてキスをする。
「僕もフロイドの目の状態が確認出来るまでフロイドの側にいますので、しばらく留守になりますが、よろしくお願いします」
「こちらの事は心配いりませんよ」
「ふふふ。そうですよね。ではフロイド、行きましょう」
フロイドとジェイドは闇の鏡の中へ消えて行った。
「アズール先輩、手術…、絶対成功しますよね？」
「ええ。片目でも見えてくれたら万々歳ですよ…。必ず成功します」
「はいっ…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
